研究課題/領域番号 |
23360327
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
楊 明 首都大学東京, システムデザイン研究科, 教授 (90240142)
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研究分担者 |
真鍋 健一 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (10145667)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 精密造形プロセス / 高密度エネルギー援用 / マイクロ成形 / インプロセス矯正 / 低荷重精密鍛造 |
研究概要 |
本年度の研究実績概要を以下に示す. 1.箔材のプレス成形における振動が変形に及ぼす影響を調査した.100KHzの超音波を付加した場合,ブラハ効果による素材変形抵抗の低減が見られ,素材寸法の縮小に伴い,その効果が相対的に大きくなることが分かった.箔材の寸法効果に対する振動援用の有効性を実証できた.また,市販の有限要素法解析を用いて,振動付加プレス成形のコンピュータシミュレーションを行い,加振が素材表面変形の評価を実施し,変形メカニズムの解明を行った. 2.卓上型サーボプレス機械に小型超音波振動デバイスをダイセット内に導入し,振動援用マイクロ転写成形を行った.微小寸法のV溝(幅100umと200um)への転写に対して,振動が箔材の転写性に及ぼす影響を実験的に調査した.振動付加によって,素材の微小V溝への入流時の流動抵抗が低減し,転写高さが20%向上した.また,結晶粒径の大きい素材に対して,転写性の向上率が大きくなることが分かった.超音波による加工硬化抑制及び素材がV溝への流入時,金型との摺動による局部軟化が転写率向上に寄与した. 3.素材表面を通電加熱することにより,寸法効果を利用した高効率な加熱システムを卓上型サーボプレス機械に導入し,難加工材であるチタン箔材の深絞りと鍛造を行った.箔材のみを加熱することにより,数秒程度の加熱時間で,500℃まで昇温が可能になり,通常の成形速度でチタンの温間成形を実現した.温間成形により,チタンの変形抵抗が低減され,成形限界が向上した.また,チタンの塑性変形時のすべり系増加により,表面荒れが抑制され,室温での成形品と比較して,製品表面が滑らかである.また,マイクロ鍛造においては,チタンのスプリングバックが大きく低減し,製品の形状精度の向上につながった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に開発した卓上型サーボプレス機械に振動援用システム及び通電加熱システムを利用して,各種プレス成形加工を行い,振動援用及び通電加熱が箔材成形加工における素材の変形メカニズムの解明ができた.また,有限要素法を用いた数値シミュレーションによる素材の変形メカニズムの検証を行い,変形メカニズムの定量評価をある程度できた.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究に関しては,当初の予定通りに推進していく予定である.具体的には以下の項目を重点的に進める予定である. 1)実験と数値シミュレーションによる素材変形メカニズムの定量評価をさらに進め,その結果を用いてプロセス最適設計を行う. 2)開発したインプロセス素材表面矯正プロセス及びマイクロ精密鍛造プロセスを導入した高精度成形プロセスを開発し,素材の表面粗さ,平坦度,さらに成形後の表面粗さ増大などの課題に対する改善度を評価し,プロセスの最適化を行う. 3)高精度成形プロセスを適したマイクロ医療部品,バイオ分析や燃料電池用マイクロポンプ・バルブなど高機能マイクロデバイスの生産システムを開発し,高精度化の効果を評価する.
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