研究課題/領域番号 |
23360330
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
井口 学 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任教授 (00043993)
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研究分担者 |
植田 芳昭 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 研究員 (00599342)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 濡れ性 / 鉄鋼プロセス / 3相界面 / フルード数 |
研究概要 |
本年度は鉄鋼精錬プロセスの基礎となる固体・気体・液体3相界面の動的挙動について実験と数値計算の両面から検討を加えた。 すなわち、実験的検討では、まず溶銑などの溶融金属中へ侵入するCaOなどの脱硫剤の挙動に関するモデル実験として、溶融金属の代わりに水を用いた、いわゆる水モデル実験を、フルード数の相似則に基づいて行った。水をモデル液体として用いるのは、水の動粘度が溶銑の動粘度によく似ているためである。脱硫剤の密度は溶銑の役半分であるので、脱硫剤のモデルとして水よりも密度の小さい固体球を用い、球表面の濡れ性を変化させるために撥水剤を塗布した。これによって接触角を約140度とした。落下高さを変化させて、複数の球が水面から水中に侵入するときの様相を高速度カメラで撮影し、球の背後に形成される気柱の長さや破断に要する時間、球の侵入深さなどに対する実験式を提案した。また、濡れ性によって球の背後に形成される気柱の挙動がおおきく変化することを明らかにした。ついで、表面力の影響が顕著に現れる微細な水平管路を用いて水ー空気系気液二相流の挙動の観察を行い、通常の管路との相違を明確にした。 数値計算に際しては、市販のソフトのフルーエントを用いて、高さが非常に小さな扁平矩形流路内の水ー空気系二相流の計算を行い、上記実験結果と良好な一致の見られることを明らかにした。これによって、実機における固体・気体・液体3相界面の動的挙動を計算するための基礎資料を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は3年間の予定で実施している。鉄鋼プロセスの高効率化を図るには1600度Cにも達する溶融金属中の気体や固体の振る舞いを明らかにしなければならないが、実機を使ってこれを行うのはほとんど不可能である。モデル実験や数学的モデリングによって行わざるを得ない。本年度は、ちょうど中間の年度であるが、当初の予定通り、基礎的な混相流動現象については実験を行い、また、その数値計算による予測も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
前年度までの方針に従いつつ、より複雑な固体・気体・液体3相界面の動的挙動について実験と数値計算の両面から検討を加える。この結果に基づいて、実機プロセスの高効率化を図るにはどのようにすればよいのかの提言を行う。
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