本年度は次の二つの課題に着目して研究を行った。目的と実績は下記のとおりである。 (1)反応容器内へのガス吹き込みによって発生する旋回現象について、もっとも効率的な吹き込み方法を探る。 [実績概要] 効率的な攪拌の評価は均一混合時間、あるいは吹き込みガスから浴内の液体への熱伝達・物質移動によって評価される。今回は、主として熱伝達によってガスの吹き込み位置についての調査を行い。偏心攪拌による効果を確認した。また、旋回している浴内に密度が水よりも大きい多くの固体球を投入して、浴内での攪拌状況を観察した。この実験については水よりも密度の小さい場合についても検討を行い、目視観察によって最適攪拌状況を明らかにした。 (2)高速度カメラを用いてスラグ・メタル海面を通過するアルゴンガス気泡の表面で生成される微小なメタル滴の生成を抑制する方策を水モデル実験に基づいて探る。 [実績概要] この現象は非常に複雑であるので、さらに、過程を分割し、気泡が変形しないと仮定して固体球に見立てて、水中へ侵入する様子を高速度カメラを用いた実験と数値計算によって調べた。気体中に侵入した固体表面に存在するの液膜の動的挙動を実験によって観察し、破裂によって液滴が発生するかどうかを調べた。数値計算ではさらにメッシュを小さくしないと実験結果を再現できないことが分かった。なお、気泡を固体球で近似することは、気泡が小さくて、しかもその表面が不純物で汚染されている場合には、適用可能であるといわれている。
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