研究課題/領域番号 |
23360334
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐々木 秀顕 東京大学, 生産技術研究所, 特任助教 (10581746)
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研究分担者 |
前田 正史 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (70143386)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 鉄シリサイド |
研究概要 |
1073~1373 K で溶融したケイ酸塩に電極基板を浸漬し,その電位を制御することにより Si の電析を試みた. Si が優先的に還元されると予想される電解浴組成を選択し,高温の電解浴中での使用に耐える電極材料としてグラファイト・Fe・Mo・Ni を選択した. 温度および電流密度が電析に与える影響を観察した結果,電極基板上に Si 膜を析出させることには未だ成功していないが,還元された Si が電極基板と反応して表面にシリサイド膜を生成することを確認した.シリサイドは耐熱性や耐腐食性を有し,組成によっては半導体となるため,良質な膜を作製できれば実用できる可能性がある.また,Si の電気化学的還元に関する過去の研究はハロゲン浴を使用するものが中心であるため,本研究内容において開発中の酸化物のみを用いた電解方法は,より容易で環境負荷の小さい代替技術となる可能性がある.これを新たな Si 還元法として位置づけ,その利用について検討を行った. ただし,Fe-Si 系のように相互拡散が進行しやすい系では,還元された Si が電極基板内部へ浸透し,Si 濃度が高いシリサイドを電極表面に得ることができなかった.本結果については,Fe 中への Si の浸透法としての応用を検討した.また,よりSi 濃度が高いシリサイド膜を得るために,低温での高電流密度の電析を行う方針での反応条件の探索を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画において目標としたSi 膜の電析にはいたっていない.だだし,金属電極表面に Si を還元して Si 化合物(シリサイド)を得ることには成功した.電極基板上への Si の還元については,研究例の多くがハロゲン浴などを用いているため,本試験の結果を新たなの Si 電析法とみなすことができる.本手法の派生的な応用方法考えるとともに,電極上への Si 合金形成を本研究の目的を達成するための新たな視点とすることを考えている.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,電極上のシリサイド生成を積極的に利用することも視野に入れ,研究の発展を目指す.一つの方針は,溶融ケイ酸塩からの Si 還元をシリサイドの製造方法として利用することとする.シリサイドは半導体等としての応用が期待されており,FeSi2 はその代表的なものである.しかし,シリサイドはバルクおよび膜としての製造プロセスが確立しておらず,多様なアプローチによる作製が試みられている.高温でのケイ酸塩の還元により良質なシリサイドが得られるならば,新しい作製法となる可能性がある. また,溶融ケイ酸塩からの Si 還元により電極基板上に Si 系合金を得たのち,Si 以外の合金成分を除去すれば,高純度の Si を得られる可能性がある.例えば Al は,高温の液体状態で Si 電析用の電極として使用することができ,得られた Si-Al は比較的容易に Si と Al に分離できる.このような,合金電析と脱合金化反応を利用した Si 還元についても検討を行う. Si 中の不純物の挙動については,とくに除去が課題となっている B を対象として,高温質量分析法を用いた熱力学測定により調査を行う.本手法は,合金や酸化物からの蒸気種を質量分析計で同定しながら,標準試料との比較により定量的な評価を行う手法である.これにより,Si-B 中の B や酸化物中の B についての情報(安定に存在する化学種や活量)を調査し,高純度 Si を得るための基礎となる知見を得る.
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