研究課題/領域番号 |
23360338
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
瀬戸 章文 金沢大学, 自然システム学系, 准教授 (40344155)
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研究分担者 |
大谷 吉生 金沢大学, 自然システム学系, 教授 (10152175)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 薄膜・微粒子形成 / エアロゾル / 量子ドット / 太陽電池 / ナノ粒子 / レーザー / コアシェル / ナノ構造 |
研究概要 |
本研究の目的である、エアロゾルプロセスによる量子ドット材料創成のために、今年度は特に、表面修飾によるコアシェル構造の作製について検討を行った。昨年度までの結果より、量子ドット活性層となるシリコンナノ粒子の合成条件が得られているため、今年度はエアロゾルプロセスを用いて、透明導電体のシェルを被覆するプロセスの開発を行った。具体的には、シリコンと亜鉛の二成分固体ターゲットを用い、これにレーザー光を同時照射し、レーザー照射による非平衡プロセスを用いることでコアシェルナノ粒子のワンステップ合成を試みた。得られたナノ粒子を透過型電子顕微鏡で観察したところ、レーザーの照射強度と二成分ターゲットへの照射面積比ならびに系の圧力・温度などの操作パラメータを調整することで、得られるナノ粒子の形態をある程度制御可能であることが明らかとなり、シリコンをコア、酸化亜鉛をシェルとしたコアシェルナノ粒子の合成条件を見いだすことができた。さらに、シェル材料の候補として、昨年より検討を開始した炭素系の材料について、レーザー光を気中浮遊粒子に再照射することにより、炭素のナノ構造変化が生じ結果的に数層のグラフェン層からなるナノカーボンが合成できることが明らかとなった。このレーザー照射による炭素ナノ構造の変化過程、すなわちレーザー誘発相転移について、レーザーの照射条件と得られるナノカーボンの特性について検討を行った。 さらに、これらのナノ粒子を実際に光エネルギー変換デバイスとして用いるための素子化のために固体基板上へのナノ粒子の堆積制御プロセスの開発を開始した。エアロゾル状態のナノ粒子を静電場ならびに慣性力を利用して基板上に配列制御ならびに素子化に関する装置を開発し、これらの操作条件と得られる素子のナノ構造の関係について基礎的な知見が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
二成分ターゲットのレーザー同時照射によって、シリコンをコア、酸化亜鉛をシェルとしたコアシェルナノ粒子の合成に成功しており、当初の計画通り進展している。またシェル材料としてナノカーボンの合成に関する新たな知見も得られている。さらにこれらのナノ粒子を基板上に配列する手法について基礎的な検討を進めており、研究は概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である次年度は、得られたコアシェル粒子の基板上への堆積と素子化を行い、得られた粒子の物性を透過型電子顕微鏡やラマン散乱などを用いて解析するとともに、太陽電池としての光エネルギー変換特性において、ナノ構造との相関に関する新たな知見を得ることを目指していく予定である。
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