研究課題
本研究では、ナノ粒子に対するエアフィルタの捕集性能評価法を確立するために、試験粒子としてエレクトロスプレーと微分型静電分級器(DMA)を用いてポリエチレングリコール(PEG)分子を発生させた。発生させたPEG分子の帯電状態を、荷電中和器(241Am)を用いて制御し、3つの帯電状態のPEG分子の試験粒子を得た。そして、それらを試験粒子としてフィルタ捕集試験を行い、マクロ分子イオンをフィルタ試験評価用ナノ粒子として用いる妥当性について検討した。以下に本研究で得られた主な知見をまとめる。(1) 分子量4600~75200のPEG試料を用いて、エレクトロスプレーで発生させたPEG分子は多価に帯電している。(2) 分子量4600~75200の溶液を静電噴霧し、発生した多価帯電PEG分子を荷電中和してDMAで分級することで、粒径が2.7~6.9 nmの1価帯電PEG分子が発生できる。これらのPEG分子の粒径は、PEG分子量より密度1として予測可能である。これにより、PEG分子量を変化させて、粒径2.7~6.9 nmの単分散試験粒子の発生が可能となった。(3) 3種類の帯電状態の異なるPEG分子を試験粒子としてフィルタ捕集試験を行った結果、SUSワイヤスクリーンとNylonワイヤスクリーンに捕集効率に差は無く、いずれも跳ね返りは生じず理論拡散捕集効率と一致し、フィルタ材質、粒子の帯電状態による捕集効率の差はない。(4) 多価帯電PEG分子を用いて得られたフィルタ捕集効率は、単一繊維捕集理論に基づいて求めた推定線よりも小さくなる。これは、跳ね返りが起きているのではなく、1価帯電粒子と同じ電気移動度を有する、より大きな多価帯電粒子が試験粒子に混入することが原因である。以上より、マクロ分子イオンを静電噴霧によって発生させ荷電中和後、DMAで分級すれば、マクロ分子イオンをフィルタ試験用ナノ粒子として使用できる。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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KAGAKU KOGAKU RONBUNSHU
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http://aerosol.w3.kanazawa-u.ac.jp/index.html