研究課題/領域番号 |
23360344
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研究機関 | 公立大学法人北九州市立大学 |
研究代表者 |
吉塚 和治 公立大学法人北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (70191567)
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研究分担者 |
西浜 章平 公立大学法人北九州市立大学, 国際環境工学部, 准教授 (00347668)
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キーワード | 反応・分離工学 / 資源開発工学 / 吸着・イオン交換 / レアメタル / 地熱水 |
研究概要 |
本研究は地熱水や温泉水から、溶存元素であるリチウムとホウ素のレアメタル2元素を同時に、かつ、高選択的に分離濃縮できる吸着分離剤と分離回収プロセスを開発することを目的としている。 本年度は、基盤的研究として以下の研究を行った。 (1)無機系イオン形状記憶型吸着剤の開発 地熱水中に共存するナトリウムやカリウム、シリカ、ヒ素などに対する吸着剤のリチウムとホウ素の吸着選択性を明らかにした。 (2)吸着平衡と速度の測定と吸着機構の解明 ターゲット金属の吸着速度に関する実験を行い、吸着速度のpH、金属イオン濃度、吸着剤量および温度の依存性を明らかにした。 (3)新規吸着剤の造粒手法の開発 (1)および(2)で開発した新規吸着剤の造粒方法の開発を行った。特に、地熱水を現場で直接処理する場合には、80~100□といった高温での操作が必要であるため、高温に耐えうる無機系バインダーを用いた造粒吸着剤の結晶構造に与える温度の影響を明らかにした。 (4)カラム法による模擬地熱水からのリチウムとホウ素の吸着溶離実験 (3)で開発した粒状吸着剤をカラムに詰め、(2)と同様の条件下でカラム吸着溶離実験を行い、地熱水中に共存する成分に対する吸着選択性および操作温度の影響を明らかにした。また、吸着溶離試験後の吸着剤の結晶構造を測定し、吸着剤の構造安定性、耐久性の確認と共にバインダーの地熱水への耐久性と耐熱性についても評価を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は3年計画であり、初年度の基盤的研究、2年度の応用的研究および3年度の実証研究を予定している。平成23年度は吸着剤の開発や吸着特性および高温に耐える造粒法の開発など、ほぼ基盤的研究は完了することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、平成23年度に開発した吸着剤を用いて、サンプリングした地熱水からリチウムとホウ素の同時回収に関する実験室規模の研究を行い、操作上の問題点等を明らかにしていき、プロセスの最適化を行う。 平成25年度は、平成24年度に引き継ぎカラム分離実験を行うが、リチウムとホウ素の吸着分離の繰り返し実験を行い、吸着剤の安定性や耐久性などについて評価するとともに、地熱水からのリチウムとホウ素の同時分離回収プロセスを提案する予定である。
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