研究課題/領域番号 |
23360346
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
田川 智彦 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10171571)
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研究分担者 |
山田 博史 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70293644)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 化学工学 / 触媒・化学プロセス / マイクロ反応器 / 反応・分離工学 / 表面界面物性 / 顕微赤外分光分析 / 顕微紫外分光分析 / 流動シミュレーション |
研究概要 |
マイクロ化学プロセスの実用化に向けた新しい工学の展開が急務とされている。我々は、1)反応器壁への触媒の調製と2)液多相触媒反応系における相間移動触媒の相分離・回収について、反応工学の視点から検討してきた。マイクロ触媒化学プロセスに関する反応工学の一層の展開のため、分光学的手法を駆使した反応系のin situ 解析が不可欠である。そこで、赤外から紫外にわたるin situ 顕微分光法を駆使して、微少領域における反応条件下での触媒中間種の特定と動的特性の把握、反応器形状がそれらに及ぼす影響を解明することを目的とした。 24年度は1)顕微紫外分光法の応用について優先して検討した。シリコン基板にフォトリソグラフィーの手法でマイクロチャンネルを作成し、この表面に坦持白金触媒を調製した触媒を用い、炭化水素の脱水素反応系をモデルに反応中の触媒表面の観察について実験的検討を行った。その結果、反応中の表面吸着種の捕捉に成功し、国際会議(RSCE)および化学工学会においてその詳細を公表した。 2)顕微赤外分光法による反応中の触媒の表面解析を継続し、分光測定時の反応生成物の解析を行うことに成功した。吸着種量と反応速度の関連について議論を行い、その詳細を化学工学会にて公表した。 3)流路構造が流動特性および反応特性に及ぼす影響について実験および流動状態の流体シミュレーションによる検討を一部、国際共同研究として継続した。液多相触媒反応系におけるガイドライン構造や表面処理の影響等についてのシミュレーション結果を国際会議(ISCRE)ならびに論文として公表した。 こうした成果は、マイクロ触媒反応器を応用したプロセス設計とプロセス強化に大きく資するものでありその工学的意義は大きいものと自己評価している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)顕微紫外分光法の応用についての検討では、シリコン基板にフォトリソグラフィーの手法でマイクロチャンネルを作成し、この表面に坦持白金触媒を調製した触媒反応器の作成に成功した。炭化水素の脱水素反応系をモデルに反応中の触媒表面の観察について実験的検討を行い、反応中の表面吸着種の捕捉に成功し、その成果を、国際会議(RSCE)および化学工学会において詳細に公表した。 2)顕微赤外分光法による反応中の触媒の表面解析を継続し、分光測定時の反応生成物の解析を行うことに成功した。吸着種量と反応速度の関連について議論の詳細を化学工学会にて公表した。 3)流路構造が流動特性および反応特性に及ぼす影響について実験および流動状態の流体シミュレーションによる検討を一部、タイ国(チュラロンコン大学)との国際共同研究として継続した。液多相触媒反応系におけるガイドライン構造や表面処理の影響等についてのシミュレーション結果を国際会議(ISCRE)ならびに論文として公表した。 以上の成果は、年度当初に立案した研究目的に沿ったものであるが、反応機構の特定や触媒設計への応用が完遂されてはいないため、おおむね順調に進展しているとの自己評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は1)顕微紫外分光法の応用について優先して検討する。シリコン基板にフォトリソグラフィーの手法で作成した、坦持白金触媒マイクロ反応器により炭化水素の脱水素反応系をモデルに反応中の触媒表面の観察について実験的検討を行う。ガスクロマトグラフを導入し分光分析中の反応を解析する。顕微赤外分光法の結果と比較しつつ、表面吸着種や反応中間体についての観察を行う。 2)顕微赤外分光法による触媒の表面解析を計画1)と連動させつつ継続する。特に、計画1)と同じモデル反応について、赤外分光測定時の反応生成物の解析を行うことで、紫外から赤外にわたる分光学的解析と速度論的解析を両立させることを目指す。こうした検討を通じて、顕微分光手法の、プロセス強化ならびに多相系マイクロ触媒反応工学への応用を提案する。 3)流路構造が流動特性および反応特性に及ぼす影響について実験および流動状態の流体シミュレーションによる検討を一部、国際共同研究として継続する。シミュレーションの3次元への拡張を試み、液多相マイクロ触媒反応期最適化のための設計指針を検討する。 以上、三点について、前年度の成果を継続する形で、研究を推進したい。
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