研究課題/領域番号 |
23360347
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
河瀬 元明 京都大学, 工学研究科, 教授 (60231271)
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キーワード | キャパシター / 電極構造 / 炭素材料 / 構造化電極 / イオンチャネル / 高放電電流密度 |
研究概要 |
電気二重層キャパシターの電極厚さ方向にイオン輸送チャネルを形成した構造化電極を作製し、高い性能を得られる電極構造を検討した。電極材粒子間間隙は粒子内細孔に比べ大径の空隙であるが、細孔長が数十nmであるのに対して、電極厚さ数十から数百μmと長いために、細孔内と同程度の物質移動抵抗をもっていると考えられる。現在の工業製品では、電極を薄層化して粒子間物質移動抵抗を低減しているが、本研究では新規電極構造を開発することで厚い電極での速度性能を向上させ、高容量大電流を実現することを目指している。 粒子間物質移動抵抗を削減するために電極層の厚さ方向にイオン輸送チャネルをもうけた電極構造(構造化電極)を開発し、作製した構造化電極の充放電特性について検討した。電極材料としてアルカリ賦活活性炭、導電材としてカーボンブラック、バインダーとしてPTFEを使用した。イオンパスとして円管状空孔を電極厚さ方向に設けたものと、多孔質体を電極厚さ方向にスリット状に挿入したものの2種類を提案した。円管状空孔をもつ構造化電極を用いた実験により、イオンチャネルを設けることで速度性能が向上し、高放電電流密度でのセル体積あたり静電容量が向上することが明らかになった。また、解析の結果、イオンが輸送される距離によって、性能変化を説明することに成功した。多孔質スリットを挿入した構造化電極でも、速度性能の向上が認められた。この構造化電極でもイオン輸送距離によって速度性能の向上を説明することができた。また、多孔質スリットは円管状空孔に比べて機械強度が強く、異なるスリット幅の電極を作製することで要求される速度性能に対応することができると考えられる。 提案した多孔質スリット入り電極を用いてキャパシターを構成した場合のセル容量を試算したところ、標準電極を用いたセルに対しておよそ2倍の静電容量を達成できることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度に研究を予定していた電極構造の最適化の一部を今年度行った。イオンは電解液から導電材とバインダーで埋められた領域の間隙中を拡散して電極材料に到達し,電極材料の細孔中を拡散する。粒子間間隙は粒子内細孔に比べれば大径の空隙であるが,電極が厚い場合には細孔内と同程度の物質移動抵抗をもつ。本研究では,電極層の厚さ方向にマクロ孔を設けることにより,電子伝導を妨げず,電極層内のイオンの物質移動を促進させたることに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画で平成23年度に予定していた,アルカリ賦活活性炭,高密度活性炭素繊維,カーボンナノスフィア,メソポーラスカーポンの合成実験を行う。合成条件を変え、もっとも高い性能を得られる材料を選定する。構造化電極と組み合わせることにより,速度論的モデルの開発と理論構築を行い,キャパシター性能の予測と数値シミュレーションによる電極構造の最適化を行う。
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