研究課題/領域番号 |
23360347
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
河瀬 元明 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60231271)
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研究分担者 |
井上 元 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40336003)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | キャパシター / レート特性 / モデリング / 粒子間空隙内イオン輸送 / 物質移動抵抗 / 複合電極 |
研究概要 |
電気二重層キャパシターの速度特性(レート特性)は,イオン輸送抵抗によって低下する。今年度は必要な性能を発揮するスーパーキャパシター電極の設計に定量的指針を与えるために粒子内外の物質移動抵抗を考慮したモデル構築を行った。 具体的には,細孔内および粒子間のイオン輸送を考慮したダイナミックモデルを提案し,モデルを用いて電極厚さ,電極活物質の粒径および細孔径分布が速度特性に与える影響について検討した。アノードとカソードの内部挙動は等しいとし,電極多孔体層内での電子およびカチオンの速度論的物質収支を電位分布を考慮して定式化した。モデリングに際し,平成23年度に作製した炭素電極材料サンプルならびに市販のアルカリ賦活活性炭を用いて,実際にキャパシターの充放電特性の測定実験を行い,速度特性の評価を行った。 厚肉化電極では粒子間輸送抵抗が大きいため,セパレーター付近に放電が局所化することがわかった。また,粒径についての検討から,電極層の屈曲度が粒子間輸送抵抗増加の一要因であると示唆された。メソ孔に富んだ電極活物質では,細孔内および粒子間の輸送抵抗が低減されるため,高電流密度でのみかけ静電容量が低下せず速度特性が良好であることがわかった。 厚肉化電極の速度特性を改善するには,セパレーター付近での放電の局所化を避けることが必要と考えられる。そこで,セパレーター側と集電板側に異なる活性炭を使用した複合電極を考案し,数値シミュレーションによって評価したところ,速度特性と体積当たり見かけ静電容量を両立させた電極を実現できることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度に作製した炭素電極材料サンプルならびに市販のアルカリ賦活活性炭を用いて,キャパシターを作製し,速度特性評価を行った。また,当初計画で平成25年度に予定していた速度論的モデリングを前倒しで実施し,新規電極構造提案の見通しが立った。 粒子内外の物質移動抵抗を考慮したモデル構築を行い,電極厚さ,粒径および細孔径分布の影響について検討を行った。 電極構造の改良については,平成25年度に引き続き実施していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に予定していたEDLC速度論モデルの構築は平成24年度中にほぼ終了した。平成25年度は,複合電極の作製を行い,速度特性を評価する。その結果に基づき電極構造の改良を引き続き行う。 電極材料であるアルカリ賦活活性炭,高密度活性炭素繊維,カーボンナノスフィア,メソポーラスカーボンの合成条件がキャパシター性能に与える影響を検討し,最適な電極材料,複合化を含む電極構造化方法の提案を行う。
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