研究課題/領域番号 |
23360348
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
三浦 孝一 京都大学, 工学研究科, 教授 (40111942)
|
研究分担者 |
蘆田 隆一 京都大学, 工学研究科, 助教 (80402965)
LI Xian 京都大学, 工学研究科, 助教 (00593972)
|
キーワード | 固固反応 / 低品位鉱石 / 低品位炭 / 還元反応 / ガス化反応 / 環境対策 / 自然発火 |
研究概要 |
本研究は、我が国のエネルギー消費量の大きな部分を占める製鉄業高炉プロセスの高効率化を目指し、同プロセスで起こる反応のうち極めて速度の遅い、鉄鉱石を炭材で直接還元する固固反応を、工業的に実現可能な方法で促進することを目的としている。固固反応を促進するためには固体-固体間の反応界面積を増大させる必要があり、その方法として、加熱すると分解により結晶水が脱離しナノサイズの細孔が形成される低品位鉄鉱石に多く含まれるFeO(OH)の性質を利用し、鉄鉱石に形成された細孔に低品位炭やバイオマス由来の熱可塑性炭材を多量に挿入する方法を提案した。本年度は主に、固体-固体間の反応界面積を増大させるための前処理に関わる、低品位鉄鉱石の脱水反応に伴うナノ細孔形成挙動、低品位炭やバイオマスから改質により熱可塑性の炭材を製造する過程の諸条件の影響を検討した。試薬のα-FeO(OH)は加熱に伴い、細孔表面積が増大し300℃程度で110m2/gに達した後急激に減少し、400℃ではわずか27m2/gとなった。一方、低品位鉄鉱石(RR)では、表面積が300℃程度で最高値の67m2/gに達したが、500℃でも48m2/gにしか低下せず、RRは試薬のFeO(OH)よりはシンタリングが起こりにくいことがわかった。また、低品位炭やバイオマスを350℃程度のメチルナフタレン中で、1時間程度処理することで、大幅に炭素含有率が向上した熱可塑性の低分子量成分を高収率で得られることを明らかにした。得られた低分子量成分のC%はいずれも80数%に上り、100℃以下で軟化溶融性を示す上、それらの性状は原料に依らなかった。このような炭材は、提案法において有用と考えられるため、褐炭由来の同成分とRRの単純な混合物を加熱し、予備的な還元試験を行ったところ、780℃という鉄の還元温度としては著しく低い温度で還元が完了することがわかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度にあたる本年度は、提案プロセスの前処理段階に当たる工程に重点を置き、様々な条件の影響を明らかにする計画であったが、おおむね計画通りに研究を進めることができ、プロセスのメイン工程のひとつの還元工程の予備試験まで進めることができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
初年度はおおむね計画通りに進めることができたため、引き続き当初の計画通り、提案プロセスのメインエ程、還元、ガス化試験に入る予定である。
|