研究課題/領域番号 |
23360349
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
平井 隆之 大阪大学, 学内共同利用施設等, 教授 (80208800)
|
研究分担者 |
白石 康浩 大阪大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (70343259)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 光触媒 / 金属ナノ粒子 / 半導体酸化物 / 有機合成 / 白金 / 金 / 可視光 |
研究概要 |
金属ナノ粒子を半導体光触媒上へ修飾した新触媒により、光触媒反応と触媒反応からなる連続反応を進行させ、ファインケミカルを合成する有機合成プロセスを開発する。金属ナノ粒子の精密修飾により高度な連続反応を進行させるほか、異種金属を混合した合金サイトを形成させることにより高効率かつ高選択的な物質変換を達成する。これらの研究を通して、従来の触媒プロセスでは達成の困難な反応、例えば、アルコールとニトロ化合物からのイミン合成、アルコールを水素源とする脱ハロゲン化を、安価かつ安全な試薬を用いて、常温・常圧下、有害な廃棄物を出さずに進行させるクリーンプロセスを実現する。 平成24年度は、以下の新触媒による物質変換を達成した。1) Au-Ag合金ナノ粒子を二酸化チタン(TiO2)に担持した光触媒による、エタノールと分子状酸素からの過酸化水素生成、2) Auナノ粒子を担持したTiO2光触媒による、分子状酸素を酸化剤とする可視光照射下でのアルコール酸化反応、3) Ptナノ粒子を担持したTiO2光触媒による、可視光照射下での高効率アルコール酸化反応、4) Pdナノ粒子を担持したTiO2光触媒による、一級アルコールとアミンからの二級アミン合成、などを達成した。特に、2)、3)の課題においては、金属ナノ粒子の光吸収にもとづくTiO2の伝導帯への電子注入により、電荷分離状態が形成され、金属ナノ粒子上での酸化反応、ならびに半導体上での分子状酸素の還元反応が効率よく進行させることが可能であり、可視光照射下での光触媒反応を進めることを初めて明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は、Pdナノ粒子を担持したTiO2によるアルコールと一級アミンを原料とする二級アミン合成、ならびにAuナノ粒子およびPtナノ粒子を担持したTiO2による可視光酸素酸化反応を効率よく進める反応系を開発した。半導体酸化物上でのナノ粒子の機能および光触媒反応に関する知見が順調に蓄積されてきており、今後の研究課題を計画通り順調にクリアできる感触を得ている。それゆえ、区分②に該当すると判断できる。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの研究により、Pt、AuおよびPdナノ粒子の光触媒特性を明らかにしてきた。それゆえ、単一の金属ナノ粒子の光触媒特性と機能に関する知見は多く蓄積されてきたといえる。そのため、予定通り、今後は合金ナノ粒子の設計と触媒機能の解明に努める。合金ナノ粒子の候補となるのは、仕事関数の大きく異なる二金属である。例えば、PtとCuあるいは、AuとCuなどの組み合わせ、あるいはPdとAgなどの金属の合金化により、それぞれの金属の特性とは異なる新たな性質を発現する可能性が極めて高いと考えられる。これらの合金ナノ粒子を半導体酸化物に担持した新規光触媒に関する基礎解析を行った上、物質変換反応への展開を図る。なお、平成25年度は最終年度であり、金属ナノ粒子担持半導体酸化物の光触媒機能と物質変換に対する総括を行う。
|