研究課題/領域番号 |
23360350
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岸田 昌浩 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60243903)
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研究期間 (年度) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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キーワード | 反応工学・プロセスシステム / シリカ被覆 / 固体高分子形燃料電池 / カソード電極触媒 / 速度解析 / 物質移動 |
研究概要 |
本研究においては,シリカ被覆した燃料電池電極触媒(=シリカ被覆Pt触媒)におけるシリカ被覆層中の物質移動速度を調べることが極めて重要である.Ptの溶出も含めて,電極周囲で起こっているほとんどの現象にシリカ層中の物質移動が関わっているからである.特に本研究では,シリカの帯電性と物質移動との関係に着目し,本年度は次の検討を行った. (1) 昨年度にシリカ層の厚さを制御できたため,本年度は細孔径の制御に重点を置いた.まず,シリカ層厚さが厚くなるほど,シリカ細孔径が小さくなることがわかった.また,シリカ厚さを変えることなく細孔径を変化させるために,シリカ層中に様々な官能基を組み込む検討を行った.その結果,メチル基からブチル基までを組み込むことに成功し,この手法をこれまでの本研究の手法と組み合わせることで0.5nm~2nmの範囲でシリカ細孔径を制御することに成功した. (2) 各種条件でシリカ被覆した金属粒子からの金属イオンの溶出速度の定量評価を試みた.しかし,金属とシリカが結合して溶解速度が極端に遅くなる問題と貴金属溶解のための王水によってシリカ被覆構造に変化が認めらる問題に直面した.このような新たな問題への対応策として,金属錯体粒子をシリカ被覆して,その金属錯体のシリカ被覆層からの溶出速度を定量評価することにした.その結果,シリカ層中の物質移動速度を定量評価することができ,その速度がKnudsen拡散速度よりも早いことがわかった.この結果から,シリカ層中の物質移動は,測定される平均細孔径よりも大きな細孔を通して主に起こっていることが示唆された.ただし,用いた金属錯体イオンの帯電性が高くなかったため,電荷が物質移動に及ぼす影響は明確にならなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
H22年度末~H23年度初頭に新たな問題に直面したため研究全体がやや遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
直面した問題に対しては,計画していた無機金属を金属錯体へと変更することで解決することができたため,本年度末までには当初計画通りの成果が得られる見通しである.
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