研究課題/領域番号 |
23360352
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
中村 潤児 筑波大学, 数理物質系, 教授 (40227905)
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研究分担者 |
近藤 剛弘 筑波大学, 数理物質系, 講師 (70373305)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 白金 / ナノクラスター / 触媒 / 燃料電池 / 表面科学 / グラフェン / ナノカーボン / 水素 |
研究概要 |
平成24年度はi)グラフェンに担持したPt触媒の研究を深めるとともに、ii)π共役系炭素への窒素ドープの効果を調べた。グラフェンに担持したPt粒子は1nm以下のサブナノクラスターを形成することを見出したが、その生成メカニズムを調べた。触媒前駆体としてH2PtCl6を使用するが、pHにもよるがエタノール水溶液中で、[PtCl5(OH)]-、[PtCl3(OH)3]2-、[Pt(OH) 5]2-などが生成する。この時点でPt4+が生成する。この水溶液にグラフェンを投入すると前駆体の還元が進みPt(OH)2またはPtOの微粒子が生成しグラフェンに付着する。この時にPt4+はPt2+へと還元される。これを水素還元することによって、Pt金属原子へと還元されグラフェン上を拡散しサブナノクラスターが生成することが明らかとなった。さらに、Ptの担持量と粒子径には相関があり、担持量が大きくなるにつれ粒子径は大きくなる。グラフェンの表面積は600m2程度であったが、Pt担持量が10wt%でサブナノクラスターが多かったが、20wt%になると半数以上は1 nm以上の径となる。さらに面白いことは、クラスターサイズによって電子状態が変調することである。Pt4fのXPS結合エネルギーピークはサブナノクラスター生成に伴い高エネルギー側にシフトする。Ptからグラフェンへの電子移動が起こることを示している。Pt担持率を増やすと、Pt粒子径は大きくなり、Pt4fピークは低エネルギー側にシフトしついにはバルクPtのものとほぼ同じ値になる。したがって、担持率によって、Ptの電子状態を制御することができたことになる。これは触媒化学的に重要な意味を持ち、炭素-Pt界面相互作用を利用して触媒活性を制御できることを示す。実際、COの電気化学的酸化において、Ptサブナノクラスターが高い活性を示すことを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Pt微粒子とグラフェンの相互作用によってPtの電子状態が系統的に変化する証拠を見出したからである。
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今後の研究の推進方策 |
窒素ドープグラフェンとの界面相互作用によるPt電子状態および触媒活性の変化を最終年度に明らかにする。
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