研究概要 |
本年度は,V族元素であるNb2O5/Al2O3およびTa2O5/Al2O3について焼成温度および担持量による酸性質及びNbあるいはTa周囲の構造の変化について検討を行った.数種類の酸触媒反応について検討を行い焼成温度またはNbあるいはTa酸化物担持量の影響について検討を行った。Nb2O5担持量を16wt%に固定し,焼成温度を変化させたNb2O5/Al2O3を用いて反応を行ったところ,焼成温度773K以下ではほとんど活性を示さなかった.これに対して焼成温度823K以上の領域では焼成温度の上昇に伴い活性が向上し,1123Kで最も高い活性を示した.次に焼成温度を1123Kに固定し,担持量を変化させて反応をおこなったところ,担持量16wt%で最も高い活性を示した.Ta2O5/Al2O3については,焼成温度を1223K,担持量33wt%で最も高い活性を示した・プローブ分子を用いたIR測定を行い,ブレンステッド酸量を見積もったところいずれの系についてもブレンステッド酸量の変化は,活性と良い相関を示すことが分かった.この結果は,1100K以上の高温で焼成した後も酸性特にブレンステッド酸点が発現していることを示す興味深い結果である.XRD, Raman, Nb K殻XAFSスペクトル等による検討から,高温で焼成したNb2O5/Al2O3触媒上に発現したブレンステッド酸点は,モノレイヤー状のニオブ酸化物ドメイン同士が接触する界面に発現した歪んだ架橋水酸基であることが分かった.さらにVI族元素であるWO3/Al2O3およびMoO3/Al2O3についても1100K以上の高温で焼成するとブレンステッド酸点が発現することを見出した。また、いずれの系についてもモノレイヤー状の酸化物種の形成が酸点の発現に関与していることを明らかにした.
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