研究課題/領域番号 |
23360357
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
金田 清臣 大阪大学, 太陽エネルギー化学研究センター, 教授 (90029554)
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研究分担者 |
實川 浩一郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (50235793)
水垣 共雄 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (50314406)
満留 敬人 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (00437360)
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キーワード | 触媒・化学プロセス / バイオマス / 機能集積触媒 / ハイドロタルサイト / ナノ粒子 |
研究概要 |
本研究では、これまでの我々が独自に開発してきた無機結晶性固体触媒を基に、機能集積型固体触媒の開発を通して、環境調和型のバイオマス変換反応プロセスの構築を目的としている。バイオマス由来原料として、グリセリンおよびグリセリン誘導体の三炭糖類とグルコース、フルクトースなどの単糖類をターゲットとして、(1)脱水素型酸化反応、 (2) 水素化分解反応、(3) これらの反応を利用した炭素-炭素、炭素-窒素結合形成反応、などをターゲットとする。 本年度は、この中でも特に、水素化分解反応を利用したグリセリンからのジオール合成、脱水素型反応によるカルボニル化合物の合成を行った。アルコールの酸化反応によるアルデヒドやケトンの合成は、近年、固体触媒を用いた活発な研究が行われている。分子状酸素を酸化剤とする反応系以外に、酸素を必要としない脱水素型の酸化反応系を開発した。これらの触媒系は、従来のクロムなどの重金属塩を用いた量論反応に比べて環境調和型と言える。 銅ナノ粒子触媒がグリセリンから1,2-プロパンジオールへの選択的水素化を高選択的に進行させ、また、白金-タングステン-アルミナ系触媒が1,3-プロパンジオールへの水素化分解に高活性、高選択性を示すことを見出した。さらに、脱水素型反応によるグリセロールからアセトンへの反応を進行させる優れた固体金属触媒を開発した。本反応系は貴金属を用いることなく反応が進行し、バイオマス由来原料を用いることで、従来の石油化学原料の使用を抑制し、二酸化炭素排出抑制にもつながるものと期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた、グリセリンの水素化分解反応による選択的なジオール合成については、高収率で目的生成物を得ることに成功した。また、研究の過程において、新たに脱水素型酸化反応を進行させる触媒系を開発することができたことから、当初の研究課題について、おおむね目的を達成できたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに見出してきた触媒系をもとに、新たなバイオマス変換触媒系を構築する。銅系触媒が水素化分解のみならず酸化反応に対しても優れた触媒となることを見出しており、グリセリンからのカルボニル化合物を中間体とする反応系を開発する。 また、複数の水酸基を有するポリオールの選択的変換反応への応用を検討する。金属触媒と酸、塩基触媒との組み合わせによる協奏機能が発現することがわかってきたことから、新たな高効率グリセリンおよびポリオール変換触媒系へと展開する。また、これまでに開発した水素化分解触媒系において、触媒の回収、再使用性に優れた触媒の開発に向けた研究を行う。
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