研究概要 |
本研究では、研究代表者らによる高機能固体触媒開発の知見をもとに、機能集積型の新規固体触媒の設計を行い、バイオマス由来原料であるグリセロールやフルフラールからの化成品やファインケミカルズ合成プロセスの開発を目的とした。 本年度は、バイオマス由来化学原料としてグリセロールを用い、高選択的な水素化分解反応やアセチル化反応、酸化、還元反応に優れた活性を示す触媒を開発した。特に、グリセロールの高選択的アセチル化と酸化、さらに水素化を組み合わせた高選択的な1,3-ジアセチルグリセール合成におけるワンポット反応系を構築した。 ① グリセロールの選択的アセチル化反応: 種々の金属イオン交換モンモリロナイトを用いて、酢酸によるグリセロールのアセチル化を行い、La交換モンモリロナイトが優れた触媒となることを見出した。酢酸量と反応条件を調整することで、モノアセチルグリセロール、ジアセチルグリセロール、トリアセチルグリセロールをそれぞれ高選択的に得ることに成功した。 ② 銅ナノ粒子内包アルミ酸化物触媒がジアセチルグリセロールの脱水素酸化反応に高活性を示すことを見出した。また、1,2-および1,3-ジアセチルグリセロールの混合物を用いた反応においては、異性化を伴い、高選択的に1,3-ジアセトキシアセトンを単一生成物として得ることに成功した。 ③ 上記の銅ナノ粒子内包アルミ酸化物触媒は、水素化反応にも触媒活性を示し、水素雰囲気下で1,3-ジアセトキシアセトンから1,3-ジアセチルグリセロールへの選択的水素化反応を高選択的に進行させることを見出した。 さらに、上記、①-③の反応をワンポットで行うことにより、グリセロールから1,3-ジアセチルグリセロールが得られることを示した。
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