研究課題
SrTiO3にNiとTaを共ドープすると、可視域に過渡吸収を与えるトラップ電子の数が劇的に増加し、同時に自由電子の減衰速度も劇的に遅くなることを見いだした。これは、Ni/Taをドープすると、電子を深くトラップする準位が新しく形成されることを意味していると考えられる。そこで、本年度はこのトラップ準位における光励起キャリアーの挙動を詳しく調べた。自由電子とトラップ電子の減衰過程をそれぞれ2000, 10000, 19200 cm-1の減衰過程から調べたところ、2000と10000 cm-1に過渡吸収を与える自由電子とトラップ電子は、いずれも0-20 psまで単調にゆっくりと減衰する。しかし、19200 cm-1に吸収を与える深いトラップ電子の場合には、1-5 psでゆっくりと逆に増加することが分かった。この結果は、自由電子あるいは浅くトラップされた電子が、このような時間領域でさらに深い準位に落ち込むことを示している。次に、欠陥準位におけるキャリアーの挙動を調べるために、波長の異なる二つのポンプパルス(450 nmと700 nm)を時間差をつけて照射し、50 ps後に伝導帯に残存する電子の数を2000 cm-1の過渡吸収強度からモニターした。その結果、700 nmと450 nmのポンプ光を同時に照射したときに最も効率的に電子が伝導帯に励起されるが、450 nmのパルスを照射してから700 nmのパルスを照射する場合よりも、700 nmのパルスを照射してから450 nmのパルスを照射した方が電子がより効率的に伝導帯に励起されることが分かった。この結果は、700 nmの光を使って励起された電子は10 ps以上の寿命を有しており、さらに450 nmの光を吸収して伝導帯まで励起されることを示している。つまり、欠陥準位を介して二光子で電子を伝導帯に励起できることが分かった。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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