研究課題/領域番号 |
23360363
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
田中 剛 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20345333)
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研究期間 (年度) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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キーワード | 微細藻類 / 中性脂質 / 突然変異株スクリーニング / 単一細胞モニタリング / 脂肪酸組成分析 |
研究概要 |
平成24年度は、細胞解析用プレート(High-content 単一細胞プレート)を用いたオイル蓄積微細藻類のハイスループットなスクリーニング技術の開発を目的とし、広範囲イメージングの画像検出系を構築した。また、微細藻類の細胞パターニング技術の開発、及び微細藻類のオイル蓄積過程の経時的観察(タイムラプスイメージング)を行った。中性脂質含有株スクリーニング技術の更なるハイスループット化を実現するため、CMOSイメージセンサを用いた広範囲イメージング技術の応用を行った。微細孔が高密度にアレイ化された基盤と溶液吸引機構から成る10万細胞を捕捉可能なHigh-content 単一細胞プレートを作成し、細胞と同等サイズのQdot標識粒子を導入及びCMOSイメージセンサによる一括撮像を行った。異なる蛍光波長を有する2種のQdot標識粒子を捕捉し、1種類の励起光照射下で撮像を行った。その結果、赤色及び緑色のカラーイメージが同時に取得されたことから、蛍光染色による微細藻類内の油滴及び葉緑体の観察が可能であることが示唆された。一方で、High-content 単一細胞プレート内に軟寒天培地を導入することで珪藻細胞のパターニングを細胞増殖率の影響無く効率的に行うことが可能であった。本手法により、オイル蓄積誘導条件下で珪藻のタイムラプス撮像を行い、共焦点レーザー走査型顕微鏡により取得した画像から葉緑体の体積を測定した。その結果、細胞内のオイル含量の増加に伴って、葉緑体体積が減少する様子が観察された。また、突然変異株スクリーニングに先駆けて、化学変異剤(NTG/EMS)暴露条件の検討を行い、クロロフィル含量が減少した突然変異株の作出に成功した。これより、オイル高生産株のスクリーニングに向けた、微細藻類のハイスループットイメージング、及びタイムラプスイメージングを行う基盤技術を確立することが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の目標であった、微細藻類の中性脂質含有株スクリーニング技術のハイスループット化を行う基盤技術の確立を達成した。また、突然変異株の単一細胞レベルでの増殖速度及び細胞情報(中性脂質含有量、葉緑体体積)の評価が可能な、タイムラプスイメージング技術を構築した。実際に作成した変異株から、中性脂質高含有株をセレクション・回収し、タイムラプスイメージングによる成長曲線及び中性脂質含有量を評価することにより、本技術のスクリーニング実証実験を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度中に、微細孔アレイとCMOSイメージングセンサを用いたハイスループットな中性脂質含有株スクリーニングの基盤技術を確立したため、細胞分類に必要なアルゴリズム及び解析ソフトウェアの開発を共同研究先の協力のもと推進して行く。微細藻類の細胞形態や細胞内中性脂質含有量などに由来する光シグナル情報から、光学パターンデータベースを構築する。そのデータベースを基に自動分類アルゴリズムを作成し、画像解析用ソフトウェアプログラムを開発する。
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