平成25年は、軟寒天培地上に単一細胞毎にパターニングした珪藻細胞の中性脂質含有量の評価を行った。まず、細胞解析用プレートによって、研究対象となる微細藻類Fistulifera属の細胞10万個を軟寒天培地上に集積化した。細胞内油滴をBODIPY 505/515、細胞外壁をRhodamine Bで蛍光染色すること、更に葉緑体は自家蛍光を利用することで、共焦点レーザ走査型顕微鏡によって各細胞内小器官の3次元的な形状を観察することが可能であった。取得した3次元蛍光画像から単一細胞毎に細胞内油滴と細胞体積の計測を行い、単一細胞内に占める中性脂質の割合を評価した。本手法で測定した中性脂質含有量と、乾燥藻体から抽出した脂質を重量測定した結果を比較した結果、両者は非常に高い相関性を持つことが示され、少量のサンプルから中性脂質含有量を測定できる技術の開発に成功した。本技術により、コロニーの段階からオイル生産性の高い微細藻類のスクリーニングが可能となると考えられた。次いで細胞解析用プレートとCMOSイメージングセンサを統合した、光シグナル情報に基づくコロニー検出方法の開発に着手した。CMOSセンサーによるレンズレスイメージングを用いることで、培養皿全体を一括撮像することが可能となった。更にモニタリング画像から動的変化を示すコロニー由来シグナルを識別することで、モデル細胞である大腸菌のコロニー形成を微小段階から自動的に追跡するシステムを構築した。本システムは一般的なコロニーサイズを検出できることから、微細藻類にも適用可能であると考えられた。以上より、細胞パターニング技術とコロニー検出法の統合により細胞の成長曲線と中性脂質含有量の評価のハイスループット化が可能であり、微細藻類のスクリーニング技術を確立することが出来た。
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