本年度(平成25年度)は、本研究課題の最終年度として、次のような研究成果を上げ、表題の通り、プローブ分子を要しないリアルタイム細胞応答観察法を開発するとともに、そのバイオセンシングへの有用性を示すことができた。 ① 2次元表面プラズモン共鳴(2D--SPR)センサを用いて、金チップ上に接着培養した種々の株化動物細胞を生理活性物質や薬物で刺激したときの個々の細胞内におけるプロテインキナーゼC(PKC)のトランスロケーション反応などをイメージングできることを示し、それらの物質の迅速、簡便でごく微量のセンシングが可能であることを明らかにできた。 ② 未分化状態の細胞とその分化後の細胞では、同じ薬物に対する応答が異なることに着目し、同じ薬物刺激に対する2D-SPR応答の変化を観察することによって、個々の細胞の分化状態を非侵襲に評価できる可能性を明らかにできた。 ③ 長短比の大きな酵母以外の微生物、動物細胞について、高周波域での電界配向により細胞の配向率と生存率との相関を検討し、標識の要らない生死判定法としての汎用性を示すことができた。また、電気伝導度の高い通常培地中での電界配向による細胞の生死判定を実現し、実用性を高めることもできた。 ④ デジタルホログラフィック顕微鏡により、種々の培養動物細胞の薬物刺激時の形態 (細胞の厚みや幅)変化を観察し、非標識での薬物センシングへの広い応用性を示すことができた。
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