研究課題/領域番号 |
23360370
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
二見 淳一郎 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (00420498)
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研究分担者 |
垣見 和宏 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (80273358)
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キーワード | タンパク質 / 化学修飾 / がん免疫 / タンパク質精製 / バイオテクノロジー / タンパク質工学 / 細胞内導入 |
研究概要 |
(1)抗原タンパク質調製条件の確立 全長をコードし、かつ、小さなHistagのみを付加したがん抗原タンパク質を、大腸菌を用いた組換えタンパク質発現系を用いて生産し、主に不溶性のインクルージョンボディから可逆的変性カチオン化法を駆使して、水溶性かつ高純度な抗原を取得する条件を確立した。種々の条件を検討した結果、逆相HPLCによる高純度精製後の凍結乾燥品として保存可能で、用事に水溶液として調製できること、抗体に対する反応性が維持されることなどを確認し、各種のがん抗原の確実かつ普遍的な調製法であることが実証できた。 (2)がん抗原タンパク質のワクチン化技術の開発 可逆的変性カチオン化タンパク質は喬い水溶性と細胞内導入能を兼ね備えているため、組換え体タンパク質をヒト培養細胞内に導入すれば、任意のがん抗原を大量に含有するヒト細胞を調製できる。本年度はがん抗原タンパク質:メラノーマ抗原:gp100をモデル抗原として、培養細胞内に抗原を導入する条件を最適化し、メラノーマ細胞を大幅に上回る抗原含有量の培養細胞の調製方法を確立した。また、抗原タンパク質を樹状細胞内へ高効率に導入し、かつクロスプレゼンテーションにより効率的に細胞性免疫を誘導するためには、マンノース受容体を介した経路で抗原を取り込ませる手法が有望である。本年度は、酵母由来マンナンを修飾し、ジスルフィド結合を介してタンパク質を可逆的にマンナン化できる試薬を合成した。本試薬を用いて蛍光標識タンパク質をマンナン化したところ、ヒト樹状細胞に非常に高効率に取り込まれることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究成果は、3年間の研究計画の基盤となる技術が満足されるレベルで確立された。本技術を活用した応用研究への準備が整ったものと評価している。
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今後の研究の推進方策 |
23年度に整備した技術基盤とリソースは非常に有用性が高く、24-25年度はこれらを大いに活用した応用研究を展開する。また本研究開発には、新規なタンパク質工学の基盤となる要素技術の創出が見込まれることから、本研究成果から派生する応用研究も探索し、有意義な研究開発とする。
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