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2012 年度 実績報告書

タンパク質カチオン化技術のがん免疫治療への応用

研究課題

研究課題/領域番号 23360370
研究機関岡山大学

研究代表者

二見 淳一郎  岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (00420498)

研究分担者 垣見 和宏  東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (80273358)
研究期間 (年度) 2011-04-01 – 2014-03-31
キーワードタンパク質工学 / がん免疫 / タンパク質化学 / タンパク質生産 / 診断薬 / ワクチン
研究概要

変性タンパク質に水溶性や細胞内透過性といった機能を付与するタンパク質カチオン化技術を活用して、次世代のがん免疫治療で求められている基盤技術の開発に取り組んでいる。がん細胞内では複数のタンパク質の発現異常があり、その中でもペプチド断片に分解後にMHCクラスI分子を介して抗原提示されるタンパク質をがん抗原タンパク質と呼ぶ。本研究ではがん抗原ワクチン作成に有望とされるCnacer-Testis(CT)抗原を中心に、20種類の全長CT抗原の生産システムを確立した。これらのCT抗原は非常に不安定で変性しやすい物性であるが、Cys残基を介したカチオン化処理により変性状態のまま高純度・水溶性の全長CT抗原の生産が可能となった。これらの全長抗原を用いて、がん免疫誘導時に同時に活性化される液性免疫誘導に伴う抗がん抗原抗体の評価系を構築し、高感度かつ定量的な評価系の確立に成功した(出願完了)。本評価系は、がん免疫治療時に誘導されるAntigen-Spreadingを定量的にモニタリングする検査試薬として有望で、予後との相関調査を進めている。さらに全長抗原のリソース整備を進めるため種々の検討を進めた結果、Hek293細胞と高発現ベクターを組み合わせた生産系で、比較的安価に抗原調製が進められることが確認された。現在は100種類程度の全長がん抗原(主にCT抗原)を調製する生産システムの整備を進めており、組換え体全長がん抗原タンパク質のリソースを活用した診断薬開発・がんワクチン化研究を推進したい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

全長がん抗原タンパク質を活用した診断薬開発については、当初の予想を上回る進捗を得ており、非常に有望なデータが取得できている。本システムをさらに強化し、検証実験を進めるため、多種類のがん抗原を取得するためのシステムも確立したことから、がん免疫活性をモニタリングする診断薬開発に注力したい。一方、これらの抗原を活用したワクチン化研究については、単なる基礎研究ではなく臨床研究に直ぐに結実できる様なシステムで研究を進めることが望ましく、一部実験計画を見直しながら予備実験を進めている。

今後の研究の推進方策

多種多様な全長がん抗原を水溶性かつ高純度に取得するシステム整備に注力し、これを活用した高感度抗体検査試薬を、がん免疫治療、さらには広範ながん治療をサポートできるコンパニオン診断薬として早期の実用化を図ることを第一目標に据える。さらにこれらのがん抗原リソースを有効活用する様々な応用展開を進め、がん免疫治療の発展に寄与したい。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (7件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)

  • [雑誌論文] タンパク質の物性を制御するカチオン化技術と工学的応用2013

    • 著者名/発表者名
      二見淳一郎
    • 雑誌名

      生化学

      巻: 85巻 ページ: 21-25

    • URL

      http://www.jbsoc.or.jp/old/event/magazine/pdf/85-01-04.pdf

  • [雑誌論文] Uniformly cationized protein efficiently reaches the cytosol of mammalian cells2012

    • 著者名/発表者名
      Midori Futami, Yasuyoshi Watanabe, Takashi Asama, Hitoshi Murata, Hiroko Tada, Megumi Kosaka, Hidenori Yamada, Junichiro Futami
    • 雑誌名

      Bioconjug Chem

      巻: 23 ページ: 2025-2031

    • DOI

      10.1021/bc300030d

  • [学会発表] 両親媒性ペプチドの併用による可逆的変性カチオン化タンパク質のin cell folding技術の改善

    • 著者名/発表者名
      槇原将紘、山口慎二、近藤信次、山田秀徳、二見淳一郎
    • 学会等名
      日本生物工学会西日本支部第2回講演会
    • 発表場所
      岡山大学
  • [学会発表] TAPS-sulfonateを用いた高純度・水溶性がん抗原タンパク質の調製方法

    • 著者名/発表者名
      万袋木麻子、藤原健剛、木戸桃子、藤田佳那、本荘知子、山田秀徳、二見淳一郎
    • 学会等名
      日本生物工学会西日本支部第2回講演会
    • 発表場所
      岡山大学
  • [学会発表] 変性状態の細胞内総タンパク質が示す溶解性に関する研究

    • 著者名/発表者名
      二見淳一郎、藤山晴菜、藤原健剛、山田秀徳
    • 学会等名
      第64回日本生物工学会大会
    • 発表場所
      神戸国際会議場
  • [学会発表] 転写因子タンパク質のin cell folding法 による機能発現技術の開発

    • 著者名/発表者名
      槇原将紘、山口慎二、近藤信次、山田秀徳、二見淳一郎
    • 学会等名
      第64回日本生物工学会大会
    • 発表場所
      神戸国際会議場
  • [学会発表] 可逆的変性カチオン化法を活用した高純度・水溶性がん抗原タンパク質の調製

    • 著者名/発表者名
      万袋木麻子、藤原健剛、木戸桃子、藤田佳那、 本荘知子、山田秀徳、二見淳一郎
    • 学会等名
      第64回日本生物工学会大会
    • 発表場所
      神戸国際会議場
  • [学会発表] カチオン化アビジンを介したビオチン化タンパク質細胞導入法における導入効率の最適化

    • 著者名/発表者名
      二見翠、渡邉泰宜、村田等、多田宏子、山田秀徳、二見淳一郎
    • 学会等名
      第64回日本生物工学会大会
    • 発表場所
      神戸国際会議場
  • [学会発表] Protein Cationization Techniques for Biomedical Engineering

    • 著者名/発表者名
      Junichiro Futami
    • 学会等名
      Young Asian Biochemical Engineers' Community (YABEC)
    • 発表場所
      徳島大学
  • [産業財産権] 抗体検定用試薬の製造方法、及びその用途2013

    • 発明者名
      二見淳一郎、垣見和宏、前川隆司、白木正人
    • 権利者名
      岡山大学、株式会社メディネット
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      PCT/JP2013/059692
    • 出願年月日
      2013-03-29
    • 外国

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公開日: 2014-07-24  

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