研究課題/領域番号 |
23360374
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研究機関 | 独立行政法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
中山 泰秀 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (50250262)
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研究分担者 |
上地 正実 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (90296426)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 組織工学 / 再生医療 / セルフリーデバイス / 体内バイオプロセス / 血管 / 心臓弁 |
研究概要 |
生体内では有害菌が高度に制御されており、栄養や酸素などの必須生存因子の供給が常時具備されているため、当然ながら理想的な培養環境といえる。本研究では、この生体内環境をバイオリアクターとして用いて、自家細胞とマトリックス成分から、移植用組織体を自在に設計・誘導・再生するという全く新しい着想に基づいて、細胞を一切用いない、もう一つの再生医療の実現をめざし、バイオプロセスである「生体内組織形成術」を確立することを目的として、人工鋳型「セルフリーデバイス」の開発を中心に行う。標的組織体は血管と心臓弁とする。生体外での細胞操作による従来型の再生医療の対極と位置づけられ、安全性と経済性を兼ね備えた実際的な再生医療が実現可能と考えられる。完全な工学的な発信によって、移植は他人からという常識を覆す自己完結型の医療の実現をめざす。 本年度は、セルフリーデバイスを完成させることを重点的に行った。 デバイスの作製は、3D切削加工機によって金型を作り、シリコーンを流し込むことを反復して行う従来の2次生産法に加えて、3D光造形機によって3D-CAD製図に基づく直接大量作製による1次生産法を新たに開発した。得られたデバイスを用いて動物種、部位による組織形成の違いを調べ、体内をバイオリアクターとして利用する最適条件を求めた。 さらに、心臓弁など内部に複雑な3次元形状を有する場合には外周にできた結合組織体から内部に埋め込まれた基材を取り除くことが困難である。そこで、結合組織体の内部から基材を分解しながら取出せることができる組立式心臓弁作製用基材の作製も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
主要課題に関しては、計画通りの研究進行によってほぼ目的を達成し、現在投稿中を含め、多数の英文学術雑誌に発表することができ、さらに多数の特許申請に繋がったため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は昨年度に引き続き当初の計画通り順調に進行しており、大きな問題点はなく、研究計画の変更は必要ない。最終年度では研究計画に従って、完成させたセルフリーデバイスを用いて、人工組織体を作製し、流体回路、ならびにマイクロメカニクス測定によって生体外機能を評価し、動物移植実験によってバイオプロセスの有効性を評価していく。
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