研究概要 |
超音速流中に噴射された気体の乱流拡散流束を実験で計測するため,新規に大出力ダブルパルスレーザを購入し,PIV・PLIF同時計測の光学計測システムの構築を行った.具体的には,新規レーザと測定断面に合わせたシート光学系の構築,カメラ等計測システムを固定し試験部を可動することで計測断面を変化できるような風洞設備の構築を行った.加えてNO_2のPLIFを行うため,赤色に高い量子効率を持つイメージ・インテンシファイアを購入,またNO_2-PLIFに最適なフィルタを選定し,NO_2-PLIFを行える実験環境を整えた. これら計測系の構築に加え,基礎実験として分子ガスセルを用いたNO_2のLIF実験,および上記で構築したシステムを用いた超音速流中におけるPIV・PLIFの同時計測を試みた.その結果分子ガスセルを用いた実験で,NO_2の吸収スペクトル,532nmにおける吸収断面積を計測することが出来た.また532nmの吸収による蛍光発光も確認することが出来た.他方で風洞実験は東日本大震災の影響で大幅に遅れ,PIVの散乱光に対するNO_2の吸収の影響を確認するのみにとどまった.特に風洞実験では,分子セル実験とは異なりNO_2の蛍光発光を確認することが出来なかった.この原因を調査するため,窒素系を含む化学反応計算を行ったところ,NO_2はN_2O_4と温度・圧力の条件によって平衡状態にあり,主流温度が低下する当吸い込み風洞では,NO_2がN_2O_2に数10msの時間遅れで変化してしまうことが分かった.これの結果に伴いPLIFのトレーサを変更する必要が生じた. 震災の影響で風洞実験に遅れを生じた一方で,LESをつかった数値計算は順調に研究が進展し,PIV・PLIF単体計測データとの比較検証を行うことができ,超音速流中における噴射気体の乱流拡散流束を算出できた.
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