研究課題/領域番号 |
23360378
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
田川 雅人 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (10216806)
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研究分担者 |
横田 久美子 神戸大学, 工学研究科, 助手 (20252794)
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キーワード | 宇宙環境 / 原子状酸素 / 材料試験 / 高分子 / 材料劣化 / 複合効果 / 非回収宇宙環境試験 |
研究概要 |
本研究は試料の回収を伴わない軌道上宇宙環境試験方法を確立するため、(1)各軌道環境に対応した反応メカニズムの解明と、(2)衛星搭載試験装置の高精度キャリブレーション法の開発、さらに(3)オンボード小型センサーとその地上キャリブレーション法の同時開発による超小型衛星等を用いた高信頼性日本型非回収宇宙材料曝露試験法の確立を目指すものである。平成23年度には主として国産QCMシステム導入と平成24年度以降の実験に向けた実験条件の検討を行った。本研究で開発する宇宙用QCMは明星電気が小惑星探査機「はやぶさ」イオンエンジン用コンタミネーションセンサーとして開発したQCMをベースとしたもので、国産初の材料実験用QCMシステムである。現在、本システムは神戸大学への納入と基本動作の確認が終了し、実験装置への組み込みとセットアップを行っている。また、モデル表面材料への原子状酸素、紫外線照射実験等を実施し、各種環境要因の材料劣化への影響評価を実施し、次年度以降に実施する実験条件を詳細に検討した。その結果、(1)ASTMで基準材料とされている炭化水素とフッ素系ポリマーでは劣化要因が異なること、(2)質量減少量は試料温度に依存することなどが明らかとなったため、宇宙用QCMを用いた実験を広範囲の温度環境で実験可能にするためのジグの設計・製作を進めている。これらの実験に加えて、本申請者が組織委員長を勤める「第10回宇宙環境からの材料保護に関する国際会議(ICPMSE-10J)」を6月に日本で実施した。震災、津波、原発事故と三重苦の中での開催であったが、海外から50名以上の参加を得て、成功裏に開催することができた。この機会を有効利用することにより、多くの情報を発信すると共に、また欧米から多くの技衛情報を収集することにも成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の実験予定は順調に実施されており、今年度のデータを元にした来年度の本格実験に関する実験条件条件もほぼ固まった。想定外の要件としては、ターボ分子ポンプの故障が発生したが、平成23年度中での修理・交換を終えることができ、来年度の実験の実施には問題ない。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の今後の研究方針は事前の予定と特に大きな変更はなく、(1)各軌道環境に対応した反応メカニズムの解明のための地上研究(複合効果や温度環境による変化)と、(2)衛星搭載用QCMの高精度キャリブレーション法の開発を進めて、超小型衛星にも適用可能な日本型非回収宇宙材料曝露試験法の確立を目指す。現在のところ、プロジェクトを実施する上での大きな問題はない。
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