研究課題
本研究の目的は、パルスデトネーション(PD)技術をガスタービンエンジンの分野で実用化することであり、特に、(1)PD燃焼器をガスタービンエンジンの燃焼器として活用すること、および(2)PD燃焼器を溶射用熱源として活用することを目指している。本年度は、上記(1)に関し、水冷系を改良することで運転周波数60Hzで10分間の連続運転を達成し、定常運転時の熱効率約10%を得た。また、タービンの等エントロピー効率を測定し、パルスデトネーションで駆動するタービンの等エントロピー効率が定常流でタービンを駆動する場合のそれとほとんど同じで、共に約60%であることを実験的に見出した。今後の課題としては、熱損失を低減させるために冷却系の最適化、およびもっと等エントロピー効率が高いタービンを用いた実験の必要性が明らかとなった。上記(2)に関しては、ロボットアームに取り付け可能な内径10mm、長さ350mmの小型PD燃焼器(水冷なし)を試作し、その動作特性を実験的に調べた。その結果、周波数250Hzでのパルスデトネーション動作を達成した。また、運転周波数250Hzで動作しているPD燃焼器に溶射材であるCoNiCrAlY(合金)粉末を導入し、20秒間連続動作させ、安定に動作することを確認した。さらに、合金粉末導入位置を調整することにより、酸化物度検出眼界(0.2%)以下、気孔率1.0%の溶射皮膜を得た。その際の飛行中の粉末表面温度が2000℃を超えていることも確認でき、合金粉末の融点である約1340℃よりも十分に高いことがわかった。
2: おおむね順調に進展している
パルスデトネーション(PD)燃焼器によるタービン駆動に関しては、水冷系の整備により10分単位の連続動作が可能となり、定常出力の測定が可能となった。また、PD燃焼器による溶射に関しては、PD燃焼器の小型化とその燃焼器による皮膜溶射が達成された。これらにより、技術を最適化するための基盤が確立された。
今後は、パルスデトネーション(PD)燃焼器によるタービン駆動および溶射に関し、様々なパラメータを最適化し、技術を実用化するための基礎工学的知見を確立してゆく。
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