研究課題
連携研究者である東北大学浅井圭介教授の所有する火星大気風洞において、10の3乗から4乗間のレイノルズ数、0.7以下の広いマッハ数で三角翼型の性能試験が行われ、高い性能が確認された。この翼型データと10の5乗程度のレイノルズ数において有効性が確認されているAdkinsとLiebeckの方法を用いて、飛行速度50m/s時に0.36Nの推力を発生するプロペラブレードを設計した。レイノルズ数は6000程度、ティップマッハ数は0.5で作動する。推力の値(0.36N)は、宇宙科学研究所で現在、検討が進められている火星飛行機に必要な推力の6分の1である。(現在の案では、飛行機は6発のプロペラを持つ予定である。)このプロペラの性能を市販のCFD解析ソフトで解析した。さらに、宇宙科学研究所の惑星環境風洞において、上記のレイノルズ数の約2倍のレイノルズ数、約3分の1のマッハ数で性能試験を行った。(推力、トルク、効率)について、設計値、CFDによる値、風洞実験による値は、それぞれ(0.46N,0.069Nm、60%)、(0.56N,0.074Nm)、(0.54N,0.081Nm、61%)であった。
2: おおむね順調に進展している
火星飛行機用プロペラの設計のために必要な全作業、すなわち「アドキンス・リ-ベックの方法によるプロペラの設計、宇宙科学研究所の惑星環境風洞でのプロペラ性能試験、東北大学の火星大気風洞での翼型性能試験、CFDによるプロペラの性能評価」を行い、全ての作業を問題なく進められることを確認できた。次年度以降、高効率のプロペラを設計する準備が整った。よって、おおむね順調に進展していると言える。
東北大学の火星大気風洞で取得した翼型性能、及びアドキンス・リーベックの方法で設計したプロペラについて、宇宙科学研究所惑星環境風洞、大阪大学の風洞での実験、CFD解析によって、設計性能を確認する。また、CFD解析によって、プロペラ性能を向上させる翼型、平面形を探索する。提案された翼型、平面形でのプロペラ性能は、東北大学の火星大気風洞での翼型性能試験、宇宙科学研究所惑星環境風洞、大阪大学の風洞での実験で確認する。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (9件)
Trans. Japan Society of Aeronautical and Space Sciences
巻: 54, 185 ページ: 205,211