研究課題
1000のオーダの低いレイノルズ数、0.5を超える高いマッハ数で作動する火星飛行機用プロペラについて、3つの風洞(大阪大学風洞、東北大学火星大気風洞、宇宙科学研究所惑星環境風洞)を用いた実験、数値計算力学による解析によって調べた。その結果、得られた知見は以下の通りである。(1)低レイノルズ数での翼型データと高レイノルズ数で用いられるアドキンス・リ-ベックの方法によって、60%程度の高効率の火星飛行機用プロペラの設計が可能である。(2)東北大学のグループによる風洞実験によれば、上記レイノルズ数における翼型性能に対するマッハ数の効果は、高レイノルズ数において良く知られるプラントルグラワート則で評価される効果より小さい。(3)低レイノルズ数で高い揚抗比を持つ翼型を採用することで、高効率のプロペラが得られる。その様な翼型では最大揚抗比が得られる迎角で前縁剥離渦が安定に存在し、前縁剥離渦直下の翼面に働く吸引力は主に揚力方向を向いており、抗力への寄与は小さい。最大翼厚比が5%、最大翼厚比位置が前縁から30%の翼型がこの条件を満たすので、この翼型を基準としキャンバをつけ、後縁を厚くした翼型を提案した。この翼型では、上記三角翼型よりも高い最大揚抗比が得られた。(4)アドキンス・リーベックの方法では考慮できない後退角、上反角をプロペラブレードに付加すると前縁剥離渦から繋がるトレーリングボルテクスが翼上面に存在することになる。このことによって、プロペラ性能が変化する。しかし、これまでの研究では、プロペラの効率を大きく高める後退角、上反角は見つかっていない。(5)最大効率が得られるプロペラブレードのアスペクト比には最適値が存在する。アスペクト比が大きいことによる誘導抵抗の減少と、アスペクト比が小さい(コード長が大きい)ことによるレイノルズ数増加による形状抵抗の減少のトレードオフによる。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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日本航空宇宙学会論文集
巻: 62 ページ: 24-30
Trans. Japan Society of Aeronautical and Space Sciences
巻: 56, 5 ページ: 277-285