研究課題/領域番号 |
23360387
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉川 孝男 九州大学, 工学研究院, 教授 (50380572)
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研究分担者 |
前田 正広 九州大学, 工学研究院, 助教 (70173713)
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キーワード | 超音波探傷 / FEM解析 / マイグレーション / ニューラルネットワーク / 疲労亀裂 / 斜角探傷 / TOFD / 非破壊検査 |
研究概要 |
船舶などの構造物の安全性を確保するには、溶接部などに存在する欠陥を探傷し、有害なものについては補修し取り除く必要がある。しかしながら、従来の超音波探傷においては、その精度は検査技能者の経験・技量によるところが大きく、実際の評価結果には大きなばらつきが存在し、重大な欠陥を見逃す場合や、欠陥でないものを欠陥と判定して余分な補修施工を行う場合も多いのが現状である。そこで、本研究では検査技能者の経験・技量によらない客観的な欠陥の評価技術(欠陥の位置、大きな、形状の評価)の構築を目指す。また、超音波探傷は主に製造時の初期欠陥検査に適用されてきたが、今後は、微小な初期き裂から進展した疲労き裂を、就航後に定期的に探傷することも必要とされている。 H23年度は、FEM解析に比較してその1/1000程度の計算時間で超音波の伝播挙動をシミュレーションできる新しい解析手法であるSuperposition Method(以下、SPM)を開発するとともに、垂直探傷、および斜角探傷に対するシミュレーションを行った。また試験体を製作して、探傷試験を実施し、その結果等と比較することにより計算精度を確認した。また、塗膜のある試験体を探傷した場合に、塗膜内で反射した超音波の干渉による影響を数値計算で明らかにした。 また、斜角探傷結果に対してニューラルネットワークとマイグレーション手法を適用して、その結果を基に欠陥の同定精度の向上を図るために、研究を推進中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新しい超音波の伝搬挙動の解析手法であるSPMを開発し、従来のFEMでは計算時間がかかりすぎパラメトリックな計算が不可能であった斜角探傷のシミュレーションが1/1000の計算時間でできるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
新しく開発した解析手法であるSPMの適用範囲の拡大を目指し、超音波の回折のシミュレーションが必要となるTOFDへの適用を図る。また、閉じた欠陥の探傷や、遠隔での探傷技術についても研究を進める予定である。
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