研究課題/領域番号 |
23360394
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研究機関 | 広島商船高等専門学校 |
研究代表者 |
井田 徹哉 広島商船高等専門学校, 電子制御工学科, 准教授 (80344026)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 高温超電導 / パルス着磁 / 舶用電動機 / バルク / 超電導磁石 |
研究概要 |
77K(液体窒素温度)から30Kまでの温度域に冷却した高温超電導バルク磁石に対して、最適なパルス着磁を行うための条件を明らかにするため、平成24年度は23年度に導入したGM冷凍機を組み込んだパルス着磁装置の完成を目指して作業を行った。 (a) GM冷凍機内蔵形パルス着磁装置の製作:高温超電導バルク磁石の固定には、パルス着磁の際に発生する大きな電磁力をGM冷凍機に伝えず、熱交換だけを効率良く行うための仕組みが必要となる。本研究ではGM冷凍機を本来の向きから天地を逆さまにして上向きとしたコールドヘッドの上にバルク磁石等を設置するように設計を行った。GM冷凍機を逆向きに設置すると熱伝導並びに冷媒循環の点で問題を生じることが懸念されたが、着磁装置に組み込み高真空中で動作試験を行ったところ、本来の仕様と同等の最低到達温度14K、クーリングパワー298W@100Kを得た。これを受けて着磁治具の製作を行ったが、高温超電導モータの内部を想定した配置の下で実験条件に自由度を持たせるための設計に想定以上の時間を要した。この着磁治具を用いた波形制御パルス着磁実験による捕捉磁場特性の評価については25年度に実施する。 (b) 2次元磁場計測センサの開発:実際に測定に供することが可能な2次元磁場センサの設計を行った。センサを組み立てるために、はんだリフロー炉が必要となったため、24年度は簡易型の赤外線はんだリフロー炉を開発した。25年度にこのリフロー炉を用いて2次元磁場センサの組み立てを行う。 (c) パルス着磁電源の改良: 現有のパルス着磁電源の制御回路のインターフェースを改良し、実験条件を容易に入力できるように制御回路の設計を行った。また、更なる強磁場の発生を想定してキャパシタバンクの増設を検討した。25年度は実験の必要に応じて着磁電源に外付けが可能なキャパシタバンクを製作し、実験に供する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
パルス着磁装置に内蔵する着磁治具の設計に想定以上の時間を要し、高温超電導バルク磁石を用いた波形制御パルス着磁実験を24年度中に開始することができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的である、能動的に波形を整形したパルス磁場によって高温超電導バルク磁石が本来有している大きな総磁束と良好な捕捉磁場分布が得られる実用的な着磁技術を実用化することに従い、次のように研究を推進する。 (a) 77K~30K温度領域における波形制御パルス着磁実験によって、捕捉磁場特性の向上を目指す。パルス着磁装置が概ね完成したため、25年度にはパルス着磁実験を開始することが可能な状態にある。バルク磁石へ侵入した磁束の状態を元にした波形制御を動的に行うために、センサの配置や取り扱いを工夫しながら波形制御パルス着磁の最適条件の探索を行う。 (b) 2次元磁場計測センサを試作する。パルス着磁において使用することで、パルス磁場波形と磁束の運動の関係性を明らかにし、パルス着磁の最適化に供する。 (c) 舶用高温超電導同期電動機と同等の着磁回路を組み上げて波形制御パルス着磁実験を行い、同期電動機での実用化試験に必要な着磁条件を検証する。 以上の研究内容を、現職の環境を利用し、学生の協力を得ながら推進する。また、舶用高温超電導同期電動機に関わる作業などについては、東京海洋大学和泉研究室の支援を仰ぎ、研究を遂行する。
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