77K(液体窒素温度)から30Kまでの温度域に冷却した高温超電導バルク磁石に対して、最適なパルス着磁を行うための条件を明らかにするため、GM冷凍機を組み込んだパルス着磁装置と磁場センサを開発し、パルス着磁実験を行った。 (a) GM冷凍機内蔵形パルス着磁装置によるパルス着磁実験:平成25年度は前年度に設計したバルク磁石固定治具を製作した。当初設計した熱伝導線を用いた冷却では到達温度が134Kに留まった。そこで積層銅薄板によって吸熱するように構造を変更したところ、冷却温度は23Kに達した。 バルク磁石が冷却できたため、パルス着磁実験を試みた。マイスナー効果を抑制するため30Kに加温してパルス着磁を試みた。ところが、実験対象としたGd系高温超電導バルク磁石は30Kでもマイスナー効果が強く磁場が容易に侵入せず、印加パルス磁場を強める必要を生じた。その結果、着磁治具の一部が電磁力に耐えられなくなり、着磁治具及び真空チャンバーが破損した。実験装置の破損により平成25年度中の実験継続が困難となった。現在、装置を修復中であり、平成26年度に波形制御パルス着磁実験を引き続き実施し、捕捉磁場特性の評価を行う。 (b) 2次元磁場計測センサの開発:5×5=25個のホール素子を用いた2次元磁場センサを開発した。このセンサは70mm四方の領域に並べた25個のホール素子から得られる磁束密度分布を連続して測定することが可能である。実際にパルス磁場の印加による磁束密度分布を2ms毎に測定し、それを2次元グラフ化して評価することで、2次元磁場センサの動作を実証できた。今後はこの磁場センサを用いて高温超電導バルク磁石の捕捉磁場特性の評価を行う。 (c) パルス着磁電源の改良: 実験条件を容易に入力できるようにインターフェースを改良した制御回路を開発し、実験に使用した。今後の実験ではこの装置を活用して行く。
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