研究課題/領域番号 |
23360398
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
廣吉 直樹 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50250486)
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研究分担者 |
伊藤 真由美 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10339690)
福嶋 正巳 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40344113)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | マグネタイト / 貴金属 / 金 / 白金 / パラジウム / ロジウム / 吸着 / スラグ |
研究概要 |
平成24年度は,吸着材候補の対象をマグネタイト含有廃棄物由来物質に拡げて,塩化物溶液系からの貴金属の吸着特性を調べた。具体的には、銅製錬スラグから磁力選別により磁着回収したスラグマグネタイトを用いて、塩化物溶液からの各種貴金属の吸着実験と表面分析を行った.また,塩化物溶液以外の溶液として,Auの浸出溶媒として優れた特性を持つチオ硫酸アンモニウム溶液を選び,この溶液からスラグマグネタイトへのAu吸着特性を調べた。 NaCl溶液を用い,Pt,Pd,Rhのスラグマグネタイトへの吸着に及ぼす諸要因の影響を調べた(温度25℃).貴金属の吸着量は,貴金属濃度の増大,反応時間の増大にともなって増大した.PdやRhの吸着量はpHの増加に伴って単調増加したが,AuとPtの吸着量はpH6-7付近で吸着量が最大となり,これよりも酸性やアルカリ性になると減少した.貴金属と一般金属(Cu,Zn,Ni)を混合させたNaCl溶液を用いて吸着実験を行ったところ,貴金属が選択的に吸着した.試薬のマグネタイトとスラグマグネタイトの貴金属吸着特性を比較したところ,スラグネタイトは比表面積が小さいにもかかわらず貴金属の吸着量が多かった.貴金属を吸着させたスラグネタイトの表面をSEM-EDXにより分析したところ,貴金属の吸着箇所はスラグマグネタイト中に含まれるCuの存在部位に偏在しており,スラグマグネタイト中のCuが貴金属の吸着に関与するものと推察された. スラグマグネタイトは,窒素雰囲気でチオ硫酸アンモニア溶液からAuを吸着することが見出された.酸素が存在すると,スラグマグネタイト中のCuがアンモニア錯体として酸化溶出し,これとの競合によりAu吸着量が減少する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度に計画していた廃棄物由来物質(銅製錬スラグから抽出したスラグマグネタイト)を用いた実験(塩化物溶液系の4種の貴金属種に関する吸着実験・表面分析)は終了した.また,塩化物溶液以外(チオ硫酸アンモニウム溶液)からのAuの吸着実験・表面分析についても実験を進めた.したがって,研究はおおむね順調に進展しているものと判断した.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の研究は計画にそっておおむね順調に進行しており,研究を進める上で重大な問題は生じていないので,次年度も計画に沿って研究を進める予定である.具体的には,平成25年度は,マグネタイト上に吸着・回収された貴金属類の剥離法について検討する.また,3カ年の研究で得られた成果を総括する.
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