研究課題/領域番号 |
23360403
|
研究機関 | 埼玉県環境科学国際センター |
研究代表者 |
白石 英孝 埼玉県環境科学国際センター, 土壌・地下水・地盤担当, 担当部長 (60415396)
|
研究分担者 |
浅沼 宏 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (50250717)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 微動探査法 |
研究概要 |
本研究は、地表面に設置した地震計アレイの深度方向指向性の性質を明らかにするとともに、その制御可能性を検討し探査対象の位置・深度に応じた計測を実現しようとするものである。平成24年度の研究実績の概要は次のとおり。 1 深度方向指向性の理論的検討:深度方向指向性の性質(周波数依存性、センサ間隔依存性等)及び制御可能性(アレイ形状の変化に伴う深度方向指向性の変化等)について理論的検討を実施。また、深度方向指向性の強度の違いによって生じる可能性がある計測誤差を検討するために数値実験を実施。 2 計測システムの精度確認:位相速度検出システムを用いた実フィールドでの予備計測を行い、加速度検出器及び速度検出器を用いた周波数特性、コヒーレンス、位相速度計測結果等の比較検討を実施。 3 テストフィールド候補地の検討:過去の調査資料等を参考にテストフィールド候補地の選定について検討を実施。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
地表面に設置した地震計アレイの深度方向指向性について、その性質を理論的に明らかにし、従来から経験的・実験的に言われていたアレイ直下方向を向く指向性があることを確認した。またSPAC法正三角形アレイのような等方的アレイでは、直下方向の指向性がより鋭くなる傾向が明らかになった。 深度方向指向性の制御可能性については、地震計アレイの地表面上の配置に応じて地下の指向性が変化することから、一応の制御は可能性であると考えられる。ただし、地下の特定の領域へのフォーカシングについては、地表面上での配置だけでは十分な制御が難しい可能性があり、その対応策としてアレイ形状と目標領域の位置関係に応じた位相差を信号処理段階で付加する方法が考えられるが、これについてはさらに検討が必要である。 導入した機材について実フィールドでの予備計測に使用し精度等の確認を行ったところ、本研究での使用については問題ないものと考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き、理論解析、数値実験を行うとともに、解析用ソフトウェアの開発を進める。また解析に適したテストフィールドの選定と地下構造のモデル化を進める。 さらに、本年度の研究の主体となる深度方向指向性と推定地下構造との比較検証のためのテストフィールド実験を行う。 その概要は次のとおり。 1 地震計アレイ側の条件:アレイ形状は地震計アレイの深度方向指向性の形成に強く関係することから、形状の異なる地震計アレイを用いて位相速度の検出を行う。 2 地盤構造側の条件:地下構造の幾何学的形状変化が明瞭な地点において複数の地震計アレイを展開し微動の同時アレイ観測を実施する。微動は時間によってパワーや卓越帯域が変化し、それが位相速度検出可能帯域に影響を及ぼすことから、複数アレイによる同時観測は必須である。この観測により、理論から予測される深度方向指向性とテストフィールドにおいて地震計アレイごとに検出された位相速度分散、ならびに各アレイ直下の構造との比較を行う。 3 特定領域へのフォーカシングについては、アレイ形状による指向性の制御だけでなく、信号処理上の位相制御が必要になる可能性が生じたため、数値実験やテストフィールド実験の結果を参考に新たな対応策を検討する。
|