本研究は、地表面に設置した地震計アレイの深度方向指向性の性質を明らかにするとともに、その制御可能性を検討し探査対象の位置・深度に応じた計測を実現しようとするものである。平成25年度の研究実績の概要は次のとおり。 1 理論的検討および数値実験:本年度は、アレイ出力の位相制御によるフォーカシングの可能性を検討したが、十分な指向性を得るには至らなかった。また併せて、深度方向指向性の制御が必要と考えられる状況(例えば、アレイ内部に傾きや構造境界など顕著な構造変化がある場合)に、観測位相速度に現れる誤差および構造変化の存在を示す指標について検討を行った。理論的検討および3次元波動場での数値実験によれば、アレイ内部に構造境界を含む場合、観測位相速度は2つの構造の中間的な速度を示し、またアレイ出力の実部と虚部の比を指標として用いることで構造境界の存在を推測できる可能性があることがわかった。 2 フィールド実験:数値実験で得られた結果を確認するため、アレイ内部に構造境界を含む現場においてフィールド試験を行った。その結果、数値実験と調和的な観測結果が得られ、理論的検討の妥当性が確認された。
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