研究課題/領域番号 |
23360406
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
小西 康裕 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (90167403)
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キーワード | 廃棄物再資源化 / 都市鉱山 / リサイクル / 白金族金属 / レアメタル / バイオミネラリゼーション / ナノ粒子 / 金属イオン還元細菌 |
研究概要 |
i)白金族金属(PGM)のバイオミネラリゼーション 金属イオン還元細菌としてShewanella属細菌を用いて、PGMイオン含有溶液(パラジウム(II)単独系、パラジウム(II)-金(III)二成分系)を対象にバイオ回収実験を行い、PGM還元・析出に及ぼす各種操作条件(PGMイオン濃度、溶液pH、電子供与体の種類と濃度、菌体濃度など)の影響について明らかにした。 ii)白金族金属(PGM)担持触媒としての応用 複雑な工程を経ることなく、マイルドな環境下(常温・常圧)で、微生物細胞を担体に見立ててPGMナノ粒子を高密度かつ高分散に合成できる点は、PGM担持触媒の調製法として大きな特長になる。バイオ調製したパラジウム粒子は、市販のパラジウム触媒と比較して、粒子径が小さく比表面積が大きく、液相化学反応(青色染料の脱色)における不均一系触媒として高い触媒活性を示した。 iii)都市鉱山からの白金族金属(PGM)のバイオ回収 上流工程である"都市鉱山(使用済み自動車触媒)からのPGM浸出"に関しては、前処理として"希硫酸による水熱浸出"を導入することにより、触媒中の共存金属成分を液相に浸出・除去すると同時に、PGMを浸出残渣に分離濃縮できることがわかった。次に、この浸出残渣に浸出剤として王水を適用することにより、全てのPGMを液相に浸出させることができた。 このPGM浸出貴液に対しては、溶液pH値を中性付近に調整するだけで、Shewanella属細菌の機能(PGMイオンの還元・析出)を効率よく発揮させることができた。その結果、使用済み自動車触媒に含有されていたPGM(パラジウム、白金、ロジウム)に対して、その90%程度ものPGMを濃縮物として還元・回収できることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、都市鉱山として"実際の使用済み自動車触媒"を対象に、白金族金属を高効率でバイオ分離・濃縮し、金属ナノ粒子として回収できた点は大きな成果である。
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今後の研究の推進方策 |
Shewanella属細菌による白金族金属(PGM)のバイオミネラリゼーションに関する基礎的研究として、PGMイオン種による還元速度の違いに基づく相互分離の可能性検討、生成金属ナノ粒子の性状評価を行う。また、研究対象とする都市鉱山に関しては、昨年度からの継続である"使用済み自動車触媒"に対して低コスト・高効率リサイクルプロセスを研究開発する。また、新たな実液として"メッキ排液"を対象に、PGMバイオ分離・濃縮・素材化の可能性を検討する。さらに、PGM含有溶液の連続大量処理に相応しいバイオ反応器の設計・製作・試運転を行う。
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