研究課題/領域番号 |
23360406
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
小西 康裕 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90167403)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 廃棄物再資源化 / リサイクル / 都市鉱山 / レアメタル / 白金族金属 / バイオミネラリゼーション / ナノ粒子 / 金属イオン還元細菌 |
研究概要 |
都市鉱山(使用済み自動車排出ガス触媒)から物理的に分離・回収した「白金族金属(PGM)含有ウォッシュコート粉末(0.5~1.0 wt% PGM)」を出発物質として、平成23年度の研究結果を踏まえ、平成24年度には新規バイオ技術「Shewanella属細菌を用いるPGMイオン(白金(IV)、パラジウム(II)、ロジウム(III))還元・析出」をベースにしたPGM湿式回収システムを提案するとともに、その実用化可能性について検討した。 バイオ還元・析出の上流工程に関しては、硫酸(平成23年度に使用)以外の化学浸出剤を選定しても、使用済み触媒中の共存金属を液相に浸出・除去すると同時に、PGMを浸出残渣に分離・濃縮できることがわかった。次に、この浸出残渣に対して王水を浸出剤として用いて、PGM三元素(白金、パラジウム、ロジウム)を溶液中に完全に浸出させる操作条件を明らかにした。このPGM浸出貴液に対して、Shewanella属細菌の機能が発揮される前処理方法とその最適操作条件を確立した。さらに、PGMイオンのバイオ還元・析出工程では、電子供与体としてギ酸ナトリウムをShewanella属細菌とともに添加することにより、室温、1時間以内の回分操作で、浸出液中のPGM三元素を95%以上の高収率で微生物細胞に金属ナノ粒子として回収できる最適操作条件を見出した。以上の各工程で得られた知見を基に、トータルシステムとしてのPGM回収効率を評価し、本バイオ湿式法の有効性を明らかにした。本バイオ湿式法は、先行技術(乾式方法)に比べて、使用済み触媒からのPGM分離・回収・ナノ粒子化に投入されるエネルギー量や物質量は少なく、簡便な方法で迅速にPGM回収が完了するために小規模設備を用いて実施可能となり、使用済製品が集中する都市域でのリサイクルに適した地域分散型環境技術となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、都市鉱山として“実際の使用済み自動車触媒”を対象に、白金族金属の三元素(白金、ロジウム、パラジウム)をすべて高効率でバイオ分離・濃縮・回収できた点は実用化に向けて大きな成果である。
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今後の研究の推進方策 |
研究対象とする都市鉱山として、継続テーマである“使用済み自動車触媒”とともに、新たに“工業廃液”を研究対象に加えて、白金族金属(PGM)のバイオ分離・濃縮・素材化プロセスを研究開発する。また、PGM含有溶液の連続大量処理に相応しいバイオ反応器の設計・製作・試運転を行う。
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