研究課題/領域番号 |
23360407
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
成田 弘一 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 主任研究員 (60357689)
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研究分担者 |
元川 竜平 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究員 (50414579)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 白金族 / 溶媒抽出 / アミド / スルフィド / 抽出錯体 / アミン / 協同効果 |
研究概要 |
アミン系抽出剤とスルフィド系抽出剤の混合溶媒を用いて、塩酸溶液中のロジウムの抽出挙動を調べた。アミン系抽出剤にはトリ-n-オクチルアミン(TOA)を、スルフィド系抽出剤にはジ-n-ヘキシルスルフィド(DHS)、N-メチル-N-n-オクチル-3-チアブチルアミド(3TBA)及びN,N’-ジメチル-N,N’-ジ-n-オクチル-チオジグリコールアミド(TDGA)を用いた。TOA-DHS、TOA-3TBA、TOA-TDGAのすべての混合溶媒系におけるロジウム抽出率は、それぞれ単独で使用した場合の抽出率の和よりも大きく、協同効果を示すことが分かった。また、塩酸濃度2 Mにおいてロジウム抽出分配比のスロープ解析を行い、抽出錯体中のロジウムと各抽出剤の比を求めたところ、いずれもRh:TOA:スルフィド比は約1:2:1であることが示唆された。塩酸濃度2 Mにおけるロジウムの優勢な化学種はペンタクロロアニオンであることから、プロトン化したTOA2分子により電荷が中和され、スルフィドにより溶媒和抽出されていると推測される。 FT-IRスペクトル測定では、TDGAのカルボニル伸縮振動のピーク(約1645 cm-1)に注目し、TOA-TDGA系におけるロジウム抽出前後のスペクトルを比較したところ、ロジウム抽出錯体では約1645 cm-1のピークに加え、1583 cm-1付近にもピークが生じた。ゆえにカルボニルの酸素原子が抽出錯体において何らかの相互作用に関与していると推測できる。また、中性子小角散乱法による抽出錯体溶液の測定により抽出錯体の構造を一部観察できたが、より詳細な情報を得るためには幅広い散乱角に渡るデータを得る必要があることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ロジウムの抽出分配挙動の把握に関しては、単独抽出系(N,N-二置換アミド含有3級アミン化合物)及び混合抽出系(トリオクチルアミン+スルフィド系化合物)においてほぼ終了した。白金族抽出錯体の金属周辺構造についても明らかになっており、小角散乱法等による外圏構造解析をさらに行うことで、白金族抽出メカニズム及び分配特性の解明が可能となるところまで進展している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでは、白金族オクタヘドラル錯体として、ロジウムクロロ錯体を中心に実験を進めてきたが、ルテニウムに関しても抽出挙動等を調べ、ロジウムと比較することで、詳細に白金族イオンの分離特性を明らかにする。さらに、アミド―アミン系における白金族抽出錯体の外圏構造を明らかにし、これまでに得られた白金族抽出挙動及び抽出錯体の内圏構造情報と統合することで、この新規抽出系における特異な分離メカニズムを解明する。
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