研究課題/領域番号 |
23360408
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
安藤 晃 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90182998)
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研究分担者 |
田中 のぞみ 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 特任研究員 (60581296)
津守 克嘉 核融合科学研究所, プラズマ加熱物理研究系, 准教授 (50236949)
戸張 博之 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門, 研究副主幹 (70361128)
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キーワード | プラズマ・核融合 / 水素負イオン源 / 高周波プラズマ / セシウム添加 / 中性粒子入射 / 負イオン表面生成 / 長時間運転 / CRDS法 |
研究概要 |
本研究は、水素/重水素負イオンを用いた中性粒子入射(NBI)方式に不可欠な高周波(RF)生成手法による大電流負イオン源の実現に向け、定常運転可能な高密度かつ高効率な水素負イオン源の開発をすすることを目的として実験研究を遂行している。そのため、RF 負イオン源内部における負イオンの生成、移流効果などの挙動をレーザー計測、分光計測を活用して明らかにし、多様な原子分子過程や表面相互作用が関与し時間的に変化するイオン源内の荷電粒子、及び中性粒子の挙動を観測し、負イオン生成とその挙動について、長時間定常動作時における能動制御手法を確立する。 この目的のため、本年度はまずプラズマ源の高効率化と負イオン計測手法の研究を進めた。FETを利用した高効率高周波電源を活用し、電子密度が立方mあたり10の19乗を超える水素プラズマを生成し、磁気フィルターを利用した低電子温度の実現とセシウム添加による負イオン電流値の増加を確認した。また繰り返し運転を行うことで、セシウム添加後のプラズマパラメータの変化やセシウムからの発光量の変化を長時間観測し、時間的な振る舞いについて考察を行った。 負イオン生成量の安定な維持のためには定常的な電極温度管理手法を確立する必要が有り、繰越制度を利用して検討を進め、長時間運転における検討項目の解決を順調に進めている。 一方、レーザーを用いたRFイオン源内での負イオン計測も進めており、YAGレーザを用いた光脱離法および Cavity-ring-down spectroscopy (CRDS) 法による絶対値計測を実施した。セシウム添加時における負イオン密度や分布、プラズマ電極付近での電子温度及び密度との相関を、YAG レーザによる光脱離法とCRDS 法を用いた負イオン計測結果とプローブ計測法で観測された結果とを対比することで、生成割合を明らかにできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
定常運転に向けて高周波回路系の整備やイオン源の改良を進め、高密度水素プラズマを生成してパラメータ計測ができたこと、また、生成された負イオン密度を測定するための計測手法としてレーザーを用いた光脱離法やCRDS法のシステムが動き、イオン源内での負イオン計測が順調に行われ、想定されるプラズマ密度条件下での負イオンと電子密度の比が同定できたことは大きな成果であり、順調に研究が進んでいると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画は、負イオン源内におけるセシウムの挙動解明を進めるため分光計測を用いてイオン源内の水素原子やセシウム原子およびイオンの挙動を計測する。特に長時間運転時でのプラズマ諸量や負イオン量の変化との関係を観測する。またプラズマ生成の高効率化を目指してヘリコン波放電条件を検討し、大型化に対応できる指標を明らかにする。
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