研究課題
まず東京大学TST-2球状トカマク装置に関する業績として、周辺揺動の実験解析結果をまとめた論文が電気学会の論文誌に掲載され、またアメリカ物理学会の年次大会にて発表を行った。一方、同装置における実験の進捗について、2種の測定器を新設・改造して初期データを得た。一つは2次元駆動可能なラングミュアプローブ、もう一つはプラズマ中の局所電流計測用のロゴスキープローブである。それぞれの成果をプラズマ・核融合学会年会や原子力機構若手研究会にて発表した。次に、九州大学の直線装置における業績として、ヨーロッパ物理学会での発表やEFTSOMP国際会議における招待講演(いずれもスウェーデンストックホルム)、フランスナンシー大学における招待講演を行った。同装置における実験の進捗については、本年度は多点プローブの開発を行った。プローブの計測精度(クロストークの除去など)を高めるための仕様を詰め、日本物理学会で発表した。また仕様策定のノウハウ(クロストーク除去の技術など)が東大でのプローブ改造に生かされ、2か所の実験装置での実験の相乗効果が得られた。さらに、多点プローブから得られる膨大な実験データからさらに深い知見を得るための、データ収集システムとPCクラスタシステムの必要性が判明し、それらを整備した。
2: おおむね順調に進展している
東大TST-2装置における周辺データの蓄積については、プローブの改造が段階を踏んで徐々に進捗し、研究は順調に行われている。九大における多点プローブの開発については、クロストーク低減のための技術開発に若干遅れが生じたが、相関計測の精度を高め、乱流統計解析に必要な質のデータが得られる見込みが立った。それ以外は、業績発表と実験準備(PCクラスタなど)が順調に進んでいる。
まず、東京大学のTST-2装置を対象に、昨年度に導入した改造プローブを用いて、周波数・波数の異なる揺動間の非線形エネルギー流を実測する。次に、ロゴスキープローブについては、引き続き電流計測の最適化を進める。また、上記改造プローブの実験にて測定手法の確実性が確かめられた段階で、強磁場側プローブの導入を進める。早期に強磁場側プローブ設置できるよう、研究分担者と協議を重ねる予定である。並行して、九州大学の直線プラズマ装置での実験準備を引き続き行う。昨年度は、非線形エネルギー流の空間非対称性の検定のため、直線プラズマ装置PANTAにエネルギー流測定用の空間分解能を向上させたプローブアレイを設置する予定であったが、クロストーク除去など精度を詰めたため、導入が本年度になる予定である。プローブ導入後に、バイアスなしの場合及び空間非対称なバイアス電圧・電流を印加することで、渦の傾斜効果による乱流運動量束の変動度合いに空間非対称性が発生することが期待される。バイアス無の場合や、局所的なバイアスを印加することによって、様々な空間点に渦の傾斜効果や非線形エネルギー流の分布する様子を実測する。研究対象の装置が2か所にわたっているが、それぞれの利点を生かすことで、相乗効果が得られ、研究が順調に進捗しており、本年度もその相乗効果を積極的に利用する。
すべて 2013 2012 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (12件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)
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http://hyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/search/details/K004384/index.html