研究課題
本研究では、原発機器構造物の照射環境下での経年劣化現象の機構解明と非破壊評価技術開発をめざし、高効率・高精度にデータ取得できる”コンビナトリアル型研究”を照射損傷研究で新しく提案している。H23年度に開発したコンビナトリアル型単結晶合金作製装置と、H24年度に開発・設置したタンデム型加速器用の直線駆動シャッター及び温度制御試料ステージを駆使して、本年度は濃度勾配を有するFe-Cr二元合金単結晶薄膜の磁気特性の重イオン照射効果について重点的に実験を行った。Cr濃度を0%から13%の範囲で連続的に変えたFe-Cr単結晶を475℃でCuイオン照射し、照射後に磁化過程を磁気光学カー効果顕微鏡で調べた結果、照射・未照射境界でスパイク状磁区が生じることを明らかにした。さらに、約9%以上のCr濃度で単磁区化の際の臨界磁場が急増することを明らかにした。この結果は、最近報告されている低Cr濃度側のFe-Cr合金の最新二元系状態図と一致している。並行して、材料試験炉を用いてFe-20%Cr合金バルク材を290℃で中性子照射し、ホットラボで硬度・磁気特性を調べたところ、硬度と磁気ヒステリシス曲線の保磁力の増加を確認した。これらの結果は、照射と熱の複合環境下で生じるFe-Cr系合金の脆化を磁気計測で捉えられることを示唆しており、イオン照射と単結晶薄膜を利用したコンビナトリアル型の照射損傷研究の有用性を示すことができた。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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日本AEM学会誌
巻: 22 ページ: 印刷中
J. Nucl. Mater
巻: Vol. 442 ページ: S861-S864
10.1016/j.jnucmat.2012.11.042