研究課題/領域番号 |
23360421
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
内一 哲哉 東北大学, 流体科学研究所, 准教授 (70313038)
|
研究分担者 |
高木 敏行 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (20197065)
三木 寛之 東北大学, 学際科学国際高等研究センター, 准教授 (80325943)
高屋 茂 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 次世代原子力システム研究開発部門, 研究副主幹 (80421585)
|
キーワード | 原子力材料 / 核燃料 / 非破壊評価 |
研究概要 |
本研究課題では,改良9Cr-1Mo 鋼のクリープ損傷による組織変化に伴う磁気特性変化に着目することで,非線形渦電流法を用いたクリープ破断寿命予測の評価可能性を示す.そのために磁気光学カー効果(Magneto-Optical Kerr Effect: MOKE)による測定を併用し,渦電流と磁化による寄与を分離して検討を行う.MOKE はレーザ光を用いるため高速かつ非接触で磁化過程の計測が可能であり,また渦電流による影響を受けないため,これによって動的磁気応答のメカニズムの検討を行うことが可能である.また,非線形渦電流法の測定を行い,上記で議論したメカニズムを踏まえてその信号と破断寿命との相関の検討を行う. 平成23年度は,クリープ試験片を用意し,転位構造,サブグレイン,析出物,ボイドについて定量的又は定性的な評価を行う.転位およびサブグレインの構造については,TEM観察を行うと共に,XRD分析により結晶の不均一歪みとして定量化した.析出物については,SEM画像の画像処理を行い,析出物の析出・粗大化について定量的な評価を行った.これらの試験片に対して,渦電流・磁化分離測定アプローチにより,クリープ試料の磁化及び渦電流の応答特性を測定し,動的磁化過程測定用Kerr効果測定装置と現有の電磁石を組み合わせて,交流磁場による磁化変化を評価した.さらに,誘導コイルにより同様に渦電流と磁化を測定し,高速磁化過程における磁化と渦電流を評価した.これらの磁気応答の周波数特性を,項目1)で評価した結晶の不均質性に関係するパラメータ(転位密度,サブグレイン構造),析出物に関係するパラメータ(M23C6型炭化物,MX窒炭化物,Laves相,Z相)について整理した.さらに,非線形渦電流試験を実施し,磁気応答モデルとの比較を行った.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の特色である的磁化過程測定用Kerr効果測定装置を構築し、これを用いて改良9Cr-1Mo 鋼のクリープ試験片を測定し、磁気応答について議論を行った。本研究の最も重要な部分について準備を終了したため、今後順調に研究は進捗するものと考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
平成23年度に構築した磁気応答モデルを用いて、組織パラメータ(転位、サブグレイン、析出物)と磁化及び渦電流の周波数依存性について明らかにする。さらに実験結果との比較により、磁気応答のメカニズムを解明すると共に、非線形渦電流試験結果の解釈に適用する。
|