研究課題/領域番号 |
23360423
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
鈴木 達也 長岡技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70323839)
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研究分担者 |
野上 雅伸 近畿大学, 理工学部, 准教授 (50415866)
野村 雅夫 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助教 (60100997)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 核燃料サイクル / 燃料再処理 / 固体抽出材 / クロマトグラフィ / 大気圧非平衡プラズマ |
研究概要 |
固体抽出材として、ピリジン樹脂、イミダゾール樹脂、および空孔径の異なるクラウンエーテルを官能基とする樹脂を用いて、使用済み燃料に含まれる元素の吸着特性の把握、特にマイナーアクチノイド元素の吸着特性と分離に関する研究として、ネプツニウムの課数調整法を確立した上で、塩酸溶液中でのピリジン樹脂への吸着特性を4価、5価、6価の価数ごとに確認した。また、希土類元素の相互分離をイミダゾール樹脂を用いて実施し、アルコールを添加することによる溶液の有機性による影響を確認し、有機性増加による分離促進効果とアルコールの凝集による分離阻害の影響で分離性能が説明できることを明らかにした。ホストゲスト系配位子を持つクラウンエーテルを官能基とする固体抽出剤を用いた研究では、金属イオンにより吸着平衡到達時間が異なることが見出された。また、バッチ式吸着試験において塩酸系での吸着挙動が類似している金属イオンのうち、カラムにより相互分離できるものがあることが示された。さらに、硝酸中でγ線照射を行った固体吸着剤は、低線量でも開環し、低酸濃度で種々の金属イオンを吸着するようになること、またその吸着挙動は、さらに線量を増加させても殆ど変化しないことが明らかとなった。また、大気圧プラズマを用いた化学転換ではセリアを模擬物質として化学転換を行い、四塩化炭素とヘリウムの混合比を調整することにより塩化物への化学転換が進むことを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
固体抽出剤を用いた分離技術では、種々固体抽出剤への核分裂生成物を構成する様々な元素のイオンに対する吸着特性を評価すると共に、それらのイオンの分離に関するデータを順調に収集している。また、課題となる塩酸溶液系への難溶性の燃料の化学転換技術についても大気圧非平衡プラズマを用いた化学転換法技術が適応できる可能性が高いことがわかりつつあり、当初の予定通りに研究開発が進展している。
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今後の研究の推進方策 |
固体抽出剤を用いた研究に関しては、金属イオンの吸着速度に関するデータを更に蓄積するとともに、カラム試験による分離に重点をおいた研究開発を行い、より工学的なデータの収集を行う。また、安定同位体で作成した模擬使用済燃料溶解液や原子炉で照射した燃料を用いて作成した模擬使用済燃料を用いた実験研究を行うことで、分離実証及び分離操作の最適化を行う。また、大気圧非平衡プラズマを用いた燃料の化学転換と溶解法に関しては、工学的な利用に適した連続操作と大量処理に適した手法を目指して、プラズマ発生法の改良を中心に研究を行う。
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