研究課題/領域番号 |
23360424
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
矢野 豊彦 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 教授 (80158039)
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研究分担者 |
吉田 克己 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助教 (20337710)
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キーワード | 原子力材料・核燃料 / 核変換ガス / 中性子照射 / 炭化ケイ素 / 長さ測定 / 質量分析 / SiAl0N / 熱膨張計 |
研究概要 |
本研究では、種々の条件で中性子照射した炭化ケイ素を始めとする各種セラミックスについて、質量分析装置を付加した超精密熱膨張計を用いて、徐々に昇温しながら、高温で長さ(体積)変化とその時のヘリウムなどのガス放出を同時にその場測定し、核変換ガスの挙動を含めた照射欠陥の回復挙動、すなわち安定性を明らかにすることを目的とする。本年度の研究実績を次に示す。 1)非密封放射性物質取扱施設に設置されている超高精度熱膨張計に、質量分析装置を新規に購入して連結した。精度の維持のため、空調設備の有る部屋の、除振台の上に設置した。 2)材料試験炉で中性子照射したSiC、SiAlONおよびSi_3N_4等について、長さ測定、格子定数測定を行った。また低温から順次高い温度に電気炉にょり等時アニールを行い、室温にもどしてその変化を観察した。 3)2)に示した同一照射条件の試料を、超高精度熱膨張計を用いて、ある一定温度に昇温後、その温度に6時間以上一定に保ち、長さの時間変化を1ナノメートル感度で検出した。ついで、温度を少し昇温し、試料長が照射以前の長さに戻るまで順次温度を上昇しながら繰り返し測定した。 4)測定温度範囲全体について変化の活性化エネルギーを求め、欠陥回復機構および温度によるその変化を明らかにした。 5)すでに日本原子力研究所の材料試験炉で中性子照射した焼結助剤としてホウ素を添加したSiC焼結体と、ホウ素以外の助剤を添加したSiC焼結体に関して、本研究で組み立てる放出ガスの質量分析が同時に測定可能な超高精度膨張計を用いて、照射後アニールによる長さ変化とヘリウム放出速度を高温において、"その場"連続同時測定し、放出ガスの質量分析と長さ測定の同時計測が可能なことを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的とする、中性子照射後のセラミックスの回復過程において、スウェリング回復過程と核変換ガス、特にヘリウムの放出の関連を検出することを試みるため、新たに質量分析装置を購入し、既存設備に連結して組み立て、本装置が正常に動作することを確認できた。ヘリウムの検出感度の確認がやや遅れているので、24年度当初に実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
24年度当初において、ヘリウム生成量が分かっている試料を用いて、ヘリウムガスの検出感度の確認を行う。その後、計画通り、長さ測定とのその場連動計測を行う。
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