研究課題/領域番号 |
23360424
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
矢野 豊彦 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 教授 (80158039)
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研究分担者 |
吉田 克己 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助教 (20337710)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 原子力材料・核燃料 / 核変換ガス / 中性子照射 / 炭化ケイ素 / 長さ測定 / 質量分析 / SiAlON / 熱膨張計 |
研究概要 |
本研究では、種々の条件で中性子照射した炭化ケイ素を始めとする各種セラミックスのついて、質量分析装置を付加した超精密熱膨張計を用いて、徐々に昇温しながら、高温で長さ(体積)変化とその時のヘリウムなどのガス放出を同時にその場測定し、核変換ガスの挙動を含めた照射欠陥の回復挙動、すなわち欠陥の安定性を明らかにすることを目的とする。本年度の研究実績を次に示す。 1)昨年度に東工大に輸送した、日本原子力研究開発機構で中性子照射を行った炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(Si3N4)、サイアロン(SiAlON)等各種セラミックスについて、引き続き長さ測定(スウェリング測定)、格子定数測定(X線回折装置)、及び熱拡散率測定(熱定数測定装置)を行った。 2)1)に示した同一照射条件の試料を、昨年度に設置した質量分析装置付き超高精度熱膨張計を用いて、ある一定温度に昇温後、その温度に3時間以上一定に保ち、長さの時間変化を1ナノメートル感度で検出した。ついで、温度を少し昇温し、同様な測定を繰り返す。これを、試料長が照射以前の長さに戻るまで順次温度を上昇しながら繰り返し測定すた。 3)測定温度範囲全体について長さの時間変化から、回復の活性化エネルギーを求め、欠陥回復機構および温度によるその変化を明らかにした。 4) 質量分析装置について、ヘリウムの検出感度と測定条件について種々検討し、検量線を得た。長さ測定と同時に、ヘリウム放出量連続測定を行ったが、今回測定の試料においては、単位時間当たりの放出量が極めて少なく、検出感度以下であることが分かった。今後は、試料形態や昇温速度を変化させて、実験を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、中性子照射後のセラミックスの回復過程において、スウェリングの回復機構と核変換生成ガス原子、特にヘリウムの放出量の関連を調べることであるが、23年度に購入した質量分析装置と精密熱膨張計の連結は確認できた。ヘリウムの検出感度と測定条件について種々検討し、検量線を得たが、試料中に生成していると想定されるヘリウム量と、その温度変化に伴う放出量は極めて少なく、今回用いた試料に関しての長さ測定とヘリウム放出の同時測定はかなり難しいことが分かってきた。今後は、ヘリウム生成量のより多い試料で測定条件も勘案して、引き続き計測を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、炭化ホウ素などヘリウム生成量のより多い試料で測定条件も勘案して、引き続き計測を行う予定である。バルクでの測定が困難な場合には、粉末試料を用いて、温度条件だけを揃えた測定に切り替える。 精密熱膨張計による長さ(体積)変化の測定は順調であり、酸化物を含めた各種セラミックスの測定を順次進める予定である。
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