研究課題/領域番号 |
23360426
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
福元 謙一 福井大学, 附属国際原子力工学研究所, 教授 (30261506)
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研究分担者 |
野際 公宏 福井大学, 附属国際原子力工学研究所, 特別研究員 (80465989)
鬼塚 貴志 福井大学, 附属国際原子力工学研究所, 特別研究員 (90422336)
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キーワード | 照射硬化 / TEM「その場」観察 / ボイド / 転位挙動 / 交差すべり |
研究概要 |
高速増殖炉の実用化に向け、一次冷却系配管構造材(SUS316FR鋼および高クロム鋼)における熱時効劣化及び照射劣化などの高温照射劣化に伴うマクロ的機械的性質データ(高温強度、クリープ)の充実に伴い、ミクロ組織変化機構とマクロ的機械性質の相関則の構築による寿命評価が必要になる。本研究では、材料強化評価手法として、「電子顕微鏡内『その場』観察法により、熱時効及び照射により生じる組織要素の硬化因子パラメータの定量的評価を行い、機構論的かつ現象論に即したモデルを作成して予測評価することを目的とする。 平成23年度は、磁性体である高クロム鋼などの前段階の実験として、非磁性体である純バナジウムを用い、イオン照射により発生したボイドにおける硬化因子パラメータを求めた。加速電圧190KeV、照射温度600℃にて、Heイオンを0.2dpa照射し、照射後1100℃×2時間の追加熱処理によりボイド径を変化させた2種類のバナジウムを用いて実験・評価を行った。ボイド径の成長に伴い転位線が交差すべりを起こす割合が高くなり、硬化因子パラメータはボイド径の成長とともに大きくなるサイズ依存性を示した。TEM内引張「その場」観察法に必要なTEM内引張ホルダーなどの機材について整備し、磁性体試料をTEM内にて引張試験を行うため試料形状を検討し、治具開発・作製やFIBによる試料作製の試行を行った
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、材料強化評価手法として、「電子顕微鏡内『その場』観察法により、熱時効及び照射により生じる組織要素の硬化因子パラメータの定量的評価を行い、機構論的かつ現象論に即したモデルを作成して予測評価することを目的としている。『その場』観察法による定量的評価法を確立し、BCC金属における機構論的な解析による変形機構を明らかにしつつある。今後のモデル構築のための準備や、磁性体材料を用いた試験を行うための技術課題についても見当がついたため、磁性体材料を含む高速炉構造材料に対する実験的研究を進める体制が整った。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、純バナジウムで確立された実験・解析手法を元に、一次冷却系配管構造材(SUS316FR鋼および高クロム鋼)でのボイドとの硬化因子パラメータを求めていく。また実験で得られた障害強度因子を持つ介在物に対する転位との相互作用を計算するための転位動力学に基づく計算機実験を行う。
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