研究課題/領域番号 |
23360428
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
日野 正裕 京都大学, 原子炉実験所, 准教授 (70314292)
|
研究分担者 |
北口 雅暁 京都大学, 原子炉実験所, 助教 (90397571)
杉山 正明 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (10253395)
川端 祐司 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (00224840)
|
キーワード | 中性子 / スーパーミラー / 多層膜 / 集光 |
研究概要 |
J-PARC等の大強度中性子源や中性子光学の発展による実効中性子源強度の増加により、微少試料測定の可能性も高まっており、集光ミラー開発も活発になってきた。しかし2次元集光は最近の表面加工技術の進展をもってしても容易ではなく、さらに製膜は難しく大面積化は大変困難である。本研究では、最近申請者が発明した中性子スーパーミラーシートの応用等により、安価で量産可能な2次元中性子集光ミラーデバイスの製作法に道を拓き、その適用範囲を評価することを第一の目的としている。 京大炉のイオンビームスパッタ装置ではφ200mmが最大の製膜エリアの設計だが、H23年度に平板については偏極ミラーを含めてm=3.5程度までφ400mmでも均一で安定的にスーパーミラーの製作を可能とした(これらは京大炉で整備した中性子反射率測定を行い評価した)。これによってJ-PARC BL06ビームライン建設も自作可能となった。また高精度レーザー角度測定器を購入し、3次元ゆがみ測定機の試作を行い、オフラインで2次元ミラー形状の精密評価を目指している。 また、単に集光デバイス開発による既存の分光法の高度化だけでなく、中小型中性子源の利用効率の大幅な向上、特に新しい分光法の開拓に貢献し、低速中性子利用のすそ野を大きく広げる一助となることも目指している。当初利用を予定していた原子力機構のJRR_3の再起動が難しいこともあり、集光ゲインがさらに大きい極冷中性子ビームによる新しい分光法をめざし、世界最強の研究用原子炉であるILL(フランス・グルノーブル)のVCNポートにビームタイムを申請して、1.5サイクル(1サイクル:50日)以上確保し、その準備を進めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
京大炉のイオンビームスパッタ装置ではφ200mmが最大の製膜エリアの設計だったが、H23年度にφ400mmでも均一で安定的にスーパーミラーの製作を可能とした。これは当初計画にない成果であり、J-PARC BL06ビームライン建設の礎ともなっている。ただしJRR-3 MINEポートを用いた本格的な中性子実験については実施できていない。
|
今後の研究の推進方策 |
原子力機構JRR-3の長期停止により、当初予定していたMINEポートによる長波長中性子を用いた実験ができていない。そのため、このままでは大きな遅れが懸念される。またこの状況は平成24年秋までは続く可能性が大きいため、京大炉でビームタイムを確保するだけでなく、世界最強の中性子源であるILLのVCN(極冷中性子)ポートに長期にビームタイムを確保している。ここで、集光実験を行うだけでなく、それを利用した新しい分光法もトライする。
|