研究実績の概要 |
本年度は1 eVから100 eV程度の中性子エネルギー領域でのキセノンとクリプトン同位体の中性子捕獲断面積の評価と一般的な気体ターゲットに対する実験手法の最適化の検討について実施した。中性子捕獲断面積の評価では、現在の評価済核データライブラリに格納されているキセノンやクリプトンの同位体ごとの中性子捕獲断面積と実験データを比較した。なるべく多くの実験データを再現するような統一的な断面積計算を行った。計算には原子核反応計算コードであるCCONEコードをベースとして使用した。計算に必要な光学模型ポテンシャルや前平衡過程で必要となる準位密度パラメータなどの多数のパラメータを同位体ごとに改善することで、中性子捕獲断面積だけではなく(n, 2n)、(n, p)、(n, α)反応断面積などの実験データの再現性を向上させた。また、中性子入射中性子放出二重微分断面積や放出中性子エネルギースペクトルに関するデータを得られた。実験手法の最適化については、J-PARCの物質・生命科学実験施設(MLF)では通常は個体ターゲットの使用が想定されているめ、気体ターゲットの使用には安全性などについて特別な検討が求められているため、ターゲットを格納する容器の安全性を向上を図りつつ、容器からのガンマ線バックグラウンド信号を低減することで、気体ターゲットからの信号を取得できる手法を検討した。最後に研究期間全体の取りまとめを行った。
|