研究課題/領域番号 |
23360434
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
堤 敦司 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (00188591)
|
キーワード | 燃料電池・電池 / Fuel Cell/Battery / エネルギースパークリング / 三次元電極 |
研究概要 |
アノードに水素吸蔵合金を、カソードに電気化学的にまた化学的にも酸化還元することができるMnO2を用いて、燃料電池並のエネルギー密度、二次電池並の出力密度をもつ燃料電池・電池(FCB)システムを開発することを目的として研究を行った。 平成23年度は、MnO2カソードの性能向上を目的とし、α-Ni(OH)2にAlをドープしインターカレーション制御することで、放電容量の向上を図るとともに、安定な充放電を可能とする方法について検討した。共沈法によりAl-doped α-Ni(OH)2を作製し、Alを20%添加したものが最も高い放電容量を示し、焼成によりそのサイクル特性が向上することを確認した。また、充放電によりα-Ni(OH)2中のAlが電解液中に溶出することで、放電容量が低下するという問題点を電解溶液中にAlを添加することを、電解溶液中に少量のAlイオンを加えることでα-Ni(OH)2内にAlO2-がインターカレートし、α-Ni(OH)2構造を補修,安定化し、サイクル特性が向上できることを確認した。 また、FCBシステムの正極としてMnO2を用いて電気化学的な酸化還元反応及び酸素ガス供給による充電(化学的充電)等の特性を調べ、2電子反応では不活性なMn304が生成し放電容量及び作動電位の低下が見られたが、1電子反応では安定な充放電サイクル特性を示し、酸素ガスによっても再充電ができることを見いだした。 さらに、MnO2電極の過電圧の低減を図るため、カーボンファイバーの表面に電解析出法でMnO2を析出させたファイバー状MnO2電極構造を提案した。電解析出条件を制御することによって、従来のペースト状電極に比べて作動電位及び放電容量を向上することを確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで、MnO2が電気化学的にまた化学的にも酸化還元することは確認し、基礎試験で発電効率56%を得ている。律速はカソードの抵抗過電圧が大きいことと、反応速度が遅いことが問題であったが、Alをドープすることで問題解決ができた。また、ファイバー状のMnO2カソードを提案し、従来のペースト状電極に比べて作動電位及び放電容量を向上することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
当初、中空糸膜電極を考案し適用することを考えていたが、優れた中空糸膜電極の製作が困難であることがわかった。そこで、酸素を電解液に高圧で溶存させ、溶存酸素により化学的酸化を行うことを考え、平成24年度に研究を実施する。
|