本研究では、以下を解明した。琵琶湖では、夏季に表水層で植物プランクトンがタンパク質様の溶存有機物(DOM)を生産し、タンパク質様DOMは細菌により難分解な腐植様DOMへと変換される。腐植様DOMは、冬季に深水層へと輸送される。夏季の成層期の琵琶湖深水層では、クロロフレクサス門に属するCL500-11細菌一種が優占し、さらに細菌食者である原生動物のキネトプラスチド鞭毛虫も優占する。すなわち、成層期の琵琶湖の深水層では、腐植様DOMがCL500-11細菌に消費され、CL500-11細菌はキネトプラスチド鞭毛虫始めとする原生生物に摂食される、深水層特有の生態系が駆動しているのかもしれない。
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